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ロシア軍の進軍鈍化がリスクオンムードを下支え
本日は、市場のリスクオンムードの回復を受け、リスク資産が上昇、安全資産が低下しました。市場のリスクムード転換には複数の要因が影響しています。
西側諸国によりますと、過去数日間、ロシア軍は苦戦し、民間インフラへと攻撃対象を拡大させています。これにより、プーチン大統領がウクライナとの停戦合意に前向きになる期待を浮上させる可能性があります。NATO加盟に固執していたウクライナのゼレンスキー大統領の心境変化も、平和的解決への可能性の上昇と見なされています。
おそらく、最も可能性として高い要因は、市場は既にウクライナ危機の最悪のシナリオを織り込み済みとなっていることでしょう。株価は既に底値に達し、底値での買戻しの動きが見られます。昨日、S&P 500の終値は4日連続で下落し、ナスダック指数も再び下落に転じました。
しかしながら、本日の欧州セッションでの米主要株価先物指数は、1%以上値上がりしています。仏株価、及び独株価もオープン時から約4%値上がりしました。ロンドン株式市場は、若干下落し、直近では1.7%の値上がりでした。アジア株式市場は、下落して引けました。
市場は、FRBとECBの政策会合、及びロシアとウクライナの協議に注目
リスクムードの復活継続は、コモディティ価格の急騰の継続、今後の政局の展開、及び主要国の中央銀行の政策次第となるでしょう。
明日、トルコで開催されるウクライナとロシアの外相の協議は、ベラルーシ国境で今までに開催された停戦協議よりも重要になるでしょう。
更に重要なことは、今後1週間以内に、FRBとECBがウクライナ戦争の影響を受けた政策を発表することです。
明日の開催されるECBの政策会合では、ウクライナ危機によるユーロ圏経済への影響を緩和させる為、2%のインフレ目標は撤廃される可能性があります。一方、FRBはこれまでのタカ派路線を僅かに緩和させる公算が大きいでしょう。明日に発表される米2月消費者物価指数は、再度上昇する見通しです。したがって、FRBがECBと同様の方針を採る可能性は低いでしょう。
米ドル高一服で、ユーロ回復
リスクオン回復により、ユーロ/ドルは1.09ドル台を回復し、1.0972ドルまで上昇しました。EUがエネルギーと防衛歳出の原資確保に向け、大規模な共同債の発行を検討していることも、ユーロ上昇の要因となりました。
米ドルは下落基調となっており、米ドルインデックスは99を下回りました。本日、円とスイスフランも全面安となりました。ゴールドも1.7%値下がりし、2017ドルで推移しています。
オーストラリア準備銀行のロウ総裁の発言を受け、豪ドルは本日に最大の上昇幅を記録した通貨となりました。ロウ総裁は、年内利上げの方針を明確に示しました。
ロシアルーブルは続落し、6%以上値下がりました。ロシアのウクライナ侵攻を抗議し、ロシア国内の欧米諸国の企業が相次いで営業を停止したことも、ロシアルーブル株の下落に拍車をかけました。
米国と英国のロシア産原油の輸入禁止にもかかわらず、原油高一服
米国と英国がロシア産原油の輸入禁止を決定したことも、ロシアルーブル下落要因となりました。EUも年内にロシア産天然ガスへの依存を3分の2削減することを公表しました。
リスクオンムード回復により、本日の原油相場は上昇が一服しました。WTI原油先物、及びブレント原油先物は、2%以上下落して推移しています。