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ロシアからの資金流出
ウクライナへの侵攻により、世界の市場は荒い値動きとなっています。欧州と米国は、遂にロシアに対しての厳しい経済制裁に踏み切りました。ロシアの複数の銀行がスイフトシステムより排除され、ロシア中央銀行が海外の中央銀行に預けている外貨凍結も決定されました。
この厳しい経済制裁は、ロシアにとって大きな打撃となるでしょう。ロシアの金融機関の大きな影響を与え、おそらくは経済後退に繋がるでしょう。ルーブルを守る為に、ロシア中央銀行は主要通貨を用いた為替介入でルーブルを買い支えることが困難になっています。急落するルーブルを下支えする為、本日には、ロシア中央銀行は政策金利を20%引き上げました。しかしながら、ルーブルは史上最安値を更新しました。
資金は流出し、ロシアの資産価値は暴落しています。大型投資家は既にロシア資産の売却を公表し、ロシア国内のATMには現金を引き出す為に長蛇の列ができています。ロシア中央銀行は、外国人顧客によるロシア証券売却注文の拒否を指示しました。
市場の反応
地政学リスクを金融市場に織り込むことは、非常に困難です。ポートフォリオを保護する為の正確なフォーミュラはありません。したがって、投資家は過剰反応し、リスク資産を売却し、リスク回避に動きます。
ウクライナ侵攻を取り巻くリスクのバロメーターは、原油価格になっています。ロシアへの経済制裁による供給への影響懸念で、原油価格が急騰しています。燃料価格高騰により欧州経済への打撃を懸念し、エネルギー産業は制裁の対象になっていません。
これにより、ユーロが下落しています。ロシアへの経済制裁は、欧州内の消費者、及びルーブルで取引を行う国の金融機関に影響します。したがって、米ドルの需要増加に繋がっています。
3月の0.50%の利上げの可能性が後退しているにもかかわらず、米ドルが上昇していることから、市場は米金融政策よりも、米ドルでのヘッジの動きを材料視していることが明らかです。
ウクライナ情勢を注視
株価も急落しました。欧州株式市場は約2%下落しています。一方、米主要株価先物指数の動きから、米株式市場も2%程下落してのスタートとなるでしょう。「まずはリスク資産売却し、その後に判断」がマネーマネジャーの主流な戦略になっているようです。
一方のゴールドは、上昇して今週をスタートしたものの、既に上昇幅を失いました。国債利回りの低下を考慮すると、ゴールドの下落は不可解です。外貨準備高の凍結により、ロシア中央銀行がルーブルそ下支えする為、ゴールドを売却した可能性があります。
今後の市場の動きは、ウクライナ情勢次第となるでしょう。ロシア軍は首都キエフを包囲し、プーチン大統領は核使用も示唆しました。欧州連合は、戦闘機を含む武器をウクライナに提供しました。状況は予想不可能です。
本日に開催されるウクライナとロシアの停戦協議が一筋の希望の光です。停戦には繋がらなくても、リスクムードを若干後退させる可能性があります。既にネガティブな要因が十分に市場に織り込まれた為、良いニュースが静かな市場を大きく動かす可能性もあります。