デイリーマーケットコメントー株価下落、外国為替市場の反応は限定的

投稿日: 2022年2月18日20時13分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 株価下落、その後の米露外相会談のニュースで市場ムード回復
  • 円上昇、外国為替市場全体のウクライナ情勢への反応は限定的
  • イランの核協議合意見通しで原油高一服、FRBメンバーの発言に注目

ウクライナ情勢で市場は一喜一憂

ウクライナ軍とウクライナの親ロシア派勢力との間の砲撃ニュースにより、世界市場の不透明感が再度上昇しました。リスク資産からの資金流出により、株式市場が最も大きな打撃を受け、ハイテク銘柄が中心のナスダック指数は約3%値下がりしました。

対照的に、安全資産が上昇しました。地政学リスク上昇による安全資産への資金流入、及び国債需要増加による利回り低下により、ゴールドが急騰しました。同様に、国債利回り低下は円も上昇させました。日銀のイールドカーブ・コントロールによって、円は海外の国債利回りの動きの影響を受けます。

外国為替市場では、円以外の通貨は予想外にも静かな動きとなりました。地政学リスク上昇にもかかわらず、米ドルは上昇せず、リスク通貨のNZドルに対して下落しました。ユーロも予想程の下落には繋がりませんでした。

市場ムード改善、しかしながら依然として地政学リスクを注視

ウクライナ情勢を巡り、米露外相が翌週に会談を実施するニュースが報じられ、本日の市場ムードは若干回復しました。リスク資産は安定して推移し、米主要株価先物指数は上昇しました。一方、安全資産の上昇は一服しました。

問題は今までの外交的試みは失敗に終わっていることです。したがって、双方が妥協案が見い出せない限り、外交的解決は困難でしょう。侵攻を回避し、偽旗作戦を防ぐ為に、ロシアによるウクライナ侵攻を声高に叫ぶ米国の戦略が明確になっています。

市場にとっての問題は、翌週月曜日が米国の祝日となっていることです。ウクライナ侵攻のリスク上昇を背景に、長い週末に備えて、多くの市場参加者はリスク資産のポジションの手仕舞いをするでしょう。したがって、外交ニュースによる安堵のムードは長くは継続しないでしょう。

イランの核協議合意見通し

ウクライナ情勢へのリスクよりも、イランの原油供給見通しが材料視され、今週の原油価格は大幅に下落しています。最新の報道内容によりますと、核協議合意に向けての草案の準備が整っているようです。

核協議合意見通しのニュースで、原油価格が急落していないことは非常に幸いです。過去数か月間、原油価格急落は大きなリスクになっていました。原油価格が急落していないことから、原油への底堅い需要が浮き彫りになっています。

本日、ブレイナードFRB理事、及びニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言が予定されています。市場は、依然として3月の0.50%の利上げを織り込んでいます。しかしながら、殆どのFRBメンバーは、不必要なボラティリティ引き起こす可能性を懸念し、0.50%の利上げには慎重姿勢を見せています。

地政学リスクに加えて、3月利上げ観測は、今後数週間の米ドル相場を動かす要因となるでしょう。