デイリーマーケットコメントー市場はウクライナ情勢に引き続き注目

投稿日: 2022年2月15日20時08分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • ウクライナ情勢のニュースで株価は乱高下
  • リスクヘッジの動き継続で、ゴールドと原油価格上昇
  • 米生産者物価指数発表控え、米ドルは安定推移

ウクライナ情勢のニュースで市場は乱高下

地政学リスクが引き続き世界市場を動かす主要因となっており、市場の荒い値動きが継続しています。昨日の株式市場は、ウクライナ情勢を巡る様々な報道を受けて、ボラティリティが高まりました。

ロシアのラブロフ外相は、外交的解決に向けて、米欧との対話継続をプーチン大統領に進言しました。これを受けて、市場のリスクオンムードが加速し、株価は上昇しました。しかしながら、その後にウクライナ国境でロシア軍が攻撃に向けて準備を進めていることや、ウクライナ大統領が水曜日の攻撃開始の可能性を示したことが報じられ、リスクオンの流れは後退しました。

ウクライナ政府は、ウクライナ大統領による攻撃開始日に関する発言は、攻撃開始日を予想しようとしている他国の政府への皮肉として釈明しました。そのため、市場のリスクオンムードが再度強まり、米株価は回復し、終値は僅かな下落に留まりました。

市場の含蓄に注目

総じて、市場は「まずは動いて、後から詳細確認」モードとなっているようです。軍事行動への懸念による株式市場への影響は、通常は長く続きしません。しかしながら、各国の中央銀行がインフレ抑制に向けて動いている為、ウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰を考慮すると、影響は長引く可能性があります。

ウクライナ侵攻が景気後退に繋がらない場合でも、世界経済への影響は回避できないでしょう。ウクライナ情勢の状況が一段と明確になるまで、市場はニュースに反応する傾向が続くでしょう。良いニュースは、軍事衝突が回避された場合、地政学リスクとインフレリスクが同時に解消される為、リスク資産の回復は大きくなるでしょう。

本日、ロシア軍が国境付近での演習後に基地に戻っているという報道もあり、株価とユーロは上昇し、回復の初期兆候も見られています。一方で、ゴールドと原油価格は昨日の上昇幅の一部を失いました。

ウクライナ情勢は、ゴールドにはポジティブな要因となりました。地政学リスク上昇、及び安全資産である債券への需要増加による国債利回り低下が、ゴールドを押し上げました。同時に、ウクライナ情勢の緊迫化が後退した場合、ゴールドが下落余地が大きいことなります。

外国為替市場は、安堵の兆候

外国為替市場では、慎重ムードが若干緩和し、地政学リスクによって上昇した米ドルと円の上値が重くなりました。一方、ユーロが若干回復しています。

インフレ抑制の為に、FRBがどれくらい積極的に利上げを進めるかに市場は注目しています。現在、年内6回半の利上げが予想されており、3月の0.50%の利上げ観測は上昇しています。

しかしながら、FRB内では意見が分かれており、一部のメンバーは、0.50%の利上げが市場の混乱に結びつく可能性を懸念し、必要性は低いと判断しているようです。したがって、3月の0.50%の利上げの可能性は、今後の経済指標結果次第となり、本日に発表される米1月生産者物価指数に注目が集まるでしょう。