デイリーマーケットコメントー米消費者物価指数の強い結果で米利上げ観測上昇

投稿日: 2022年2月11日20時42分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米消費者物価指数再び上昇、国債利回り上昇、米ドルは荒い値動き、株価下落
  • セントルイス連銀のブラード総裁は積極的な利上げを支持
  • ECBと豪中銀の利上げへの慎重姿勢で、ユーロと豪ドル下落

消費者物価指数結果によるパニック動きはなく、市場は柔軟な動き

昨日に発表された米消費者物価指数の強い結果は、市場の米利上げ見通し修正に繋がりました。米1月消費者物価指数は前月比0.6%増となり、市場予想の前月比0.5%増を上回りました。前年同月比では7.5%増となり、40年ぶり高水準となりました。コア指数も上昇し、物価上昇が広い分野にも広がり、失速の兆しは見られません。

米消費者物価指数発表後の国債利回りは、短期国債利回りの上昇幅が長期国債利回りの上昇幅を超え、フラット化しました。昨日、米2年債利回りは2年ぶり高水準の1.64%まで上昇し、米10年債利回りは2019年8月以来初めて2%を超えました。

米消費者物価指数発表後の米株式市場は下落し、二日連続での下落となりました。長期国債利回り上昇により、ハイテク、及び成長株が特に打撃を受けました。ナスダック指数は2.1%、S&P 500が1.8%値下がりしました。

投資家の心理を反映し、米ドルは荒い値動きとなりました。しかしながら、市場が落ち着きを取り戻すにつれて、米ドルは回復しました。本日前半の米ドルインデックスは96台まで回復し、その後の国債利回りの若干低下により、僅かに下落しました。

インフレ抑制の為、FRBは利上げ実施の可能性?

市場の主要な関心は、米消費者物価指数の強い結果を受けてのFRBのお決まりの反応でした。ハト派寄りからタカ派寄りに変更したセントルイス連銀のブラード総裁は、今後3回の政策会合での1%の利上げの必要性に言及しました。

この場合、3回のうち少なくとも1回は0.5%の利上げになります。更に、ブラード総裁は3月の政策会合前に、利上げ協議を開始する可能性も示唆しました。

しかしながら、投票権を持つFOMCメンバーが全て積極的な利上げを支持するかは不透明です。リッチモンド連銀のバーキン総裁、及びサンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、積極的な利上げに慎重姿勢を示しています。

FRBが今年前半に利上げの半分を実施し、バランスシート縮小ペースの加速を公表した場合、最終的にはターミナルレートの上昇を抑制でき、米10年債利回りの緩やかな上昇も、市場がこの流れを予測していることを示しています。この見解が維持できると、株価急落も回避できるでしょう。

ECBと豪中銀は利上げに慎重姿勢

ラガルドECB総裁は、早急な利上げの必要性がないことを改めて示し、時期尚早の利上げはユーロ圏の不安的な経済成長を鈍化させる可能性を指摘しました。

昨日のユーロ/ドルは一時1.1495ドルまで上昇し、本日には1.14ドル台を割り込みました。本日に発表された英12月GDPは、オミクロン株の影響が予想程見られなかった為、ポンド相場の反応も限定的でした。

米ドル高の流れに加えて、オーストラリア準備銀行のロウ総裁のハト派的発言は、豪ドルを押し下げました。ロウ総裁は、8月にキャッシュレート上昇開始を示唆したものの、賃金の伸びは不十分として、インフレリスクには懸念を示しませんでした。