デイリーマーケットコメントーリスクオン回復で米ドル下落

投稿日: 2022年2月2日20時05分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 株価の力強い回復継続
  • 米ドル下落、英中銀の政策会合控えポンド上昇
  • 原油相場はOPEC会合待ち、米四半期決算、及び経済指標発表に注目

楽観ムード回復

先月の株式市場はリスクオフムードが主要な流れでしたが、今月は楽観ムードが戻って来ました。米企業の好調な決算結果が実質経済が依然として底堅く推移していることを示しました。これを受けて、利上げにより市場のボラティリティの頻度が増えることになっても、利上げに対応できる環境が整いつつあると市場は見なしているようです。

ショートカバー、及びバリュエーションが下がった株の買戻しの動きにより、昨日の米株式市場は3セッション連続での上昇となりました。FRBメンバーも利上げによるネガティブな影響は少ないとの見方を示し、市場や経済の混乱を回避したい考えを強調しました。

米企業決算発表も市場ムード改善の要因となりました。グーグル、及び半導体メーカーAMDの決算結果は市場予想を上回り、株価は約10%値上がりしました。一方、ペイパルは決算の脆弱な結果により、株価が約17%値下がりしました。利上げを控えた市場での投資家のシビアな姿勢が浮き彫りとなりました。

米ドル下落、ポンド上昇

リスクオン回復の流れは、外国為替市場にも波及し、米ドルの上値が重くなり、その他の通貨が上昇しました。明日にイングランド銀行とECBの政策会合を控え、ポンドとユーロが米ドル下落の恩恵を受けました。

市場は既に0.25%の英利上げを織り込み済みで、年内5回の利上げを予想しています。ポンド相場にとっての焦点は、今年の利上げガイダンス、及びバランスシート縮小の開始時期になるでしょう。ユーロに関しては、労働市場の回復、及びインフレ上昇の継続にもかかわらず、市場の予想通り、年内利上げの踏み切るかに注目が集まるでしょう。

リスクオンムード回復を背景に、豪ドルとNZドルは異なる動きを見せました。オーストラリア準備銀行は年内利上げの公算は小さい見通しを示しているものの、豪ドル相場では材料視されず、堅調推移しています。一方のNZドルは、失業率が過去最低水準まで回復したにもかかわらず、下落しました。

OPEC会合を控え、原油価格上昇

本日、市場の最大の関心はOPEC会合に向けられるでしょう。本日の会合では、緩やかな増産計画の継続が広く予想されています。オミクロン株による世界経済への想定よりも小さい影響、及びウクライナ情勢リスクによる米国とイランの核交渉の見通し悪化を背景に、過去数週間の原油価格は上昇を継続しています。

最近の報道によりますと、OPECは増産には積極的な姿勢を示していない為、今後も原油相場は引き続き地政学リスク、及び需要の影響を受けるでしょう。現時点では、ウクライナ情勢の緊張緩和、及び米国とイランの核合意が同時に起こった場合は、原油価格の大幅な下落のシナリオが考えられます。

本日は、非農業部門雇用者数の先行指標と見なされる米1月ADP雇用統計が発表されます。指標はオミクロン株の感染拡大時の状況を反映している為、低調な結果となる可能性があります。

本日の米企業決算発表では、メタ、クアルコム、及びスポティファイ等の決算結果が発表されます。