デイリーマーケットコメントーFRBの利上げペース加速方針、米ドル上昇、株価下落

投稿日: 2022年1月27日20時55分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • パウエル議長は、量的緩和政策の終了を示唆し、タカ派的見解を表明
  • 国債利回りと米ドル上昇、株価は下落、四半期決算結果が株価を下支え
  • 消費者物価指数の強い結果が利上げ観測を上昇させたものの、最も下落した通貨はNZドル

インフレ対策でFRBは方向転換

パウエル議長は今後数か月内の借り入れコスト上昇見通しを明らかにし、従来の予想よりも頻繁且つ大幅な利上げの可能性に扉を開きました。市場の予想通り、FRBは3か月利上げを明確に示したものの、バランスシート縮小への言及はありませんでした。パウエル議長は、バランスシートについては、今後2回のFOMC会合で協議される見通しを明らかにしました。

インフレ対策へのパウエル議長の完全な方向転換は、市場を驚かせました。パウエル議長は、サプライチェーン問題の早期解決には、楽観的見解は示さず、今年半ばまでは、インフレ上昇が継続すると見なしているようです。

一方、労働市場に関しては、「非常に堅調である」と発言し、タカ派的見解を示しました。したがって、インフレ率2%までの引き下げがFRBの最優先事項となり、FOMC政策会合毎に利上げが実施された場合の市場の反応を考慮する必要があるでしょう。

米国債利回り上昇一服、米ドル急騰

現在、FF金利先物は年内5回の利上げを示しています。しかしながら、その他の分析では5以上の利上げが予想されています。タカ派的方針への変更に時間がかかったものの、今後は従来の予想よりも早いペースでの利上げをFRBが実施するリスクもあります。

本日、米2年債利回りは一時1.20%まで上昇し、23か月ぶり高水準を記録しました。一方、米10年債利回りは昨日の高水準から低下し、今後数年間の従来よりも早いペースで金融引き締めへの懸念が強まったようです。短期国債利回り上昇が米ドルを上昇させ、米ドルインデックスは6週ぶり高水準まで上昇しました。

リスクの高い銘柄が最も反応する10年債利回りが緩やかな動きとなった為、米株式市場でのパニックの動きは回避されました。

FRBのタカ派的見解にもかかわらず、米株価は底堅く推移、アジア株価は下落

FOMC政策会合の発表、及びパウエル議長の記者会見後、米株価は下落したものの、その後には回復しました。ダウ工業株、及びS&P 500は緩やかな回復に留まったものの、ハイテク銘柄が中心のナスダック指数は上昇しました。

昨日、米マイクロソフトの決算結果により、米株式市場では楽観的ムードが流れました。閉場後に発表された米テスラの強い決算結果もナスダック先物指数の上昇に繋がりました。

しかしながら、FRBによる積極的な金融引き締め姿勢は、世界の他の地域の株価を下落させました。特にアジア株式市場は下落し、欧州株式市場も下落したものの、その後には回復に転じました。

本日の米市場閉場後には、米アップル、VISA、及びマクドナルドの決算結果が発表されます。米第4四半期GDPにも注目が集まるでしょう。

NZ消費者物価指数の強い結果にもかかわらず、NZドル下落

NZ第4四半期消費者物価指数の市場予想を上回る結果にもかかわらず、NZドルは対米ドルで14か月ぶり安値まで急落しました。米国以外の地域では、利上げへの期待よりも、FRBによる積極的な金融引き締め方針への懸念が材料視されました。

NZ第4四半期消費者物価指数はっぴょうご 、0.50%の利上げの可能性が上昇していますが、米ドル高によりNZドルの上値が重くなっています。

ユーロも下落し、ユーロ/ドルは昨年11月以来初めて1.12ドル台を割り込みました。昨日、カナダ中央銀行が3月利上げを示唆した為、カナダドルは前半の安値から回復しました。