デイリーマーケットコメントー米利上げ観測で米ドル上昇、中国は利下げ

投稿日: 2022年1月17日20時00分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 年内4回の利上げ観測で、米ドル上昇
  • 経済成長を支える為、中国人民銀行は金利引き下げ
  • 本日は祝日により米市場は閉場、日銀の政策会合に注目

米小売売上高の予想を下回る結果にもかかわらず、米ドル上昇

インフレ抑制の為、FRBが年内4回の利上げを実施するとの見方が市場では強まりつつあります。先週金曜日に発表された米12月小売売上高の結果は市場予想を大幅に下回り、GDP見通しへの影響が懸念されたものの、米ドル下落には繋がりませんでした。

消費が長期間に渡って増加し、ホリディ中の消費が数値を大幅に押し上げたことを鑑みると、消費がパンデミック前に水準に戻る動きが見られるのは当然の流れでしょう。FRBメンバーがオミクロン株がインフレを誘発する為、早期利上げの必要性を明らかにしたことが市場で材料視されました。これを受けて、国債利回りが上昇し、米ドルが回復しました。

インフレ上昇見通しに加えて、JPモルガンチェースのCEOが年内6回、或いは7回の利上げの可能性があると発言したことが、利上げ観測上昇の追い風となりました。

FRBは金融市場の混乱回避を考慮しているようですが、利上げ観測の一段の上昇余地があるようです。労働市場が完全雇用の水準に達している為、利上げ観測の一段の上昇は、米ドル高に繋がるでしょう。

中国利下げへの市場の反応は限定的

対照的に、中国人民銀行は緩和政策に乗り出しました。本日、中国人民銀行は経済成長を支える為、0.10%の利下げに踏み切りました。不動産市場の危機、及び中国国内の一部の地域での厳格なロックダウンにより、中国経済は大きな打撃を受けています。

しかしながら、市場の反応は限定的で、中国経済市場が若干上昇したに過ぎませんでした。中国とオーストラリアの密接な貿易関係にもかかわらず、豪ドルは殆ど反応しませんでした。おそらく、利上げは経済回復には不十分と市場が判断した模様です。

成長リスクに加えて、中国国内のロックダウン実施がサプライチェーンに影響し、世界的なインフレ継続に繋がることに市場は注目しています。

日銀の政策会合を控え、円下落

次のリスク材料は、明日の日銀の政策発表になります。経済指標結果の改善、及び財政刺激策により、日銀が若干楽観的見解を示す可能性があるものの、現行政策の変更は予定されていません。

日銀が今後数か月内に利上げを示唆する公算は小さいでしょう。消費に大きな回復は見られず、賃金は低迷し、オミクロン株による感染拡大が継続しています。インフレの動きからも明白です。物流遅延、及びエネルギー価格高騰にもかかわらず、実質のインフレ上昇は見られません。

したがって、日銀は利上げに踏み切る最後の中央銀行になるでしょう。日銀の金融政策の観点から、円安傾向は継続するでしょう。今年は市場のボラティリティが頻繁に起きる場合、安全資産の円も一時的に上昇する為、下落幅は昨年よりも小さくなるでしょう。

本日、キング牧師記念日の祝日により、米市場は閉場となります。市場の流動性が低下する為、ニュースが通常よりも大きな動きに繋がる可能性があります。