デイリーマーケットコメントー米株価回復でリスクムード改善

投稿日: 2022年1月11日20時14分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 昨日のナスダック指数は下げ幅を全て回復し、一段の上昇
  • 中国のロックダウンでアジア株式市場は強弱混合の動き、欧州株式市場と米主要株価先物指数は上昇
  • 3月利上げ観測が上昇する中、パウエル議長の議会証言に注目

ハイテク銘柄の買戻しで、ナスダック指数回復

今年初めからスタートしたハイテク株売りが一服し、昨日の米株価は底堅く推移しました。昨日、ハイテク株中心のナスダック指数は2.7%値下がりしたものの、その後には回復し、0.05%値上がりしました。一方、ダウ工業株、及びS&P 500は下落幅を全て回復させることはできず、4日連続で下落して引けました。

ダウ工業株、及びS&P 500の回復が限定的だった為、アジア株式市場は株安となりました。中国、及び日本の株式市場は、下落して引けました。一方、欧州株式市場は上昇してのスタートとなり、昨日の下げ幅を回復させました。

オミクロン株の感染拡大に市場は引き続き警戒

市場はインフレ上昇は当面の間は継続すると見なしている為、昨年12月半ばよりスタートした国債利回り上昇が2022年の開始時から勢いを加速しています。多数の国では新たな規制は実施されていないものの、オミクロン株の感染拡大はサプライチェーンに影響を及ぼしています。

数週間後に冬季オリンピック開催を控えた中国では、コロナゼロ政策が維持され、クラスターが発生した大都市でのロックダウンを実施しています。

サプライチェーンへの影響により、少なくとも今後数か月間は、インフレ上昇は継続する見通しの為、市場は国債利回りの一段の上昇を懸念しているようです。バリュエーションの高い銘柄はコスト上昇により、リスクの高い投資先になります。したがって、成長株やハイテク株からバリュー株への資金流入は一服していますが、今後はナスダック指数が一段と下落する可能性もあります。

パウエル議長の議会証言と米消費者物価指数発表に注目

米株式市場では米3月利上げ観測が上昇しつつある為、最大の関心は利上げ回数になるでしょう。現在、年内3回の利上げが完全に織り込まれており、4回目の利上げ観測も上昇しています。FF政策金利は1.75%ではなく、2.0%がピークになります。

FRBが物価上昇への懸念を大きくしている為、明日の米12月消費者物価指数には注目が集まります。本日後半にはパウエル議長の議会証言が予定されており、インフレ見通しへの見解は注視されるでしょう。

事前に公表された議会証言での発言内容では、インフレ上昇に引き続き対応するFRBの方針が強調されています。

米ドルと円は下落、リスク通貨とコモディティは上昇

米10年債利回りが若干下落し、ハイテク銘柄が回復した為、米ドルは対主要通貨で下落しました。リスクに反応するコモディティ通貨は対米ドルで上昇しました。ポンドも上昇し、他米ドルで1.3619ドルまで値上がりしました。

ユーロ/ドルは1.1340ドル付近で推移し、円は対主要通貨で下落しました。

リスクムード回復は原油価格も上昇させました。WTI原油先物指数は79.50ドル付近まで上昇し、ゴールドは1805ドル越えとなりました。