デイリーマーケットコメントーリスクオンで株価上昇、円下落

投稿日: 2022年1月4日22時13分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 新しい年の開始で、リスク資産の需要増加、安全資産の需要減少
  • 米株価最高値更新、国債利回り上昇で米ドル高、円は下落
  • 本日はOPEC会合と米ISM非製造業景況に注目

 新しい年に向けてポジション調整の動き

今年最初の取引日となった昨日の市場は、楽観ムードとなりました。株式等のリスク資産に資金が流れ、債券等の安全資産の売りが加速し、投資家は金融市場の新しい年に向けてポジションを整理しているようです。

今年はFRBによる資産購入枠の削減、及び3回の利上げ実施が予想されている中、国債利回りが一段と上昇するリスクがあります。したがって、債券を満期まで保有しない場合、損失を被る可能性がある為、本日にはファンドマネージャーが債券売却に動いたようです。

感染が急速に拡大する一方で、オミクロン株が他の変異株よりも重症化リスクが低いことに市場が安堵し、リスク資産が一段と上昇しました。多数の国でも入院患者数が増加し始めていますが、前回のピークを大幅に下回っており、ロックダウンの可能性も後退しています。

国債利回り急騰が米ドルを押し上げています、資金が安全資産からリスク資産に移動する中、ドル/円が5年ぶり最高値を更新しました。日銀のイールドカーブ政策による日本と他国との金利差の乖離も円安の追い風となりました。

株価は最高値更新

株式市場もリスクオンの流れとなり、S&P 500が最高値を更新しました。出荷台数が過去最高を記録したテスラの株価が13.5%値上がりし、株高の流れを牽引しました。過去数年間の株高の流れは、中央銀行の潤沢な流動性供給によって支えられていました。FRBが流動性の供給量を緩やかに削減しても、金融市場には依然として十分の流動性があり、キャッシュフローが生じます。利回り上昇により債権の魅力が低下する中、特に機関投資にとっての投資先の選択肢は株式になります。

株式が依然として唯一の投資先となり、FRBによる数回の慎重な利上げがこの流れを変える公算は小さいでしょう。利上げは市場のボラティリティを引き起こします。しかしながら、FRBは市場に深刻なダメージを与えるバランスシートの縮小に着手する意向は見せていません。

ゴールド下落、OPEC会合に注目

コモディティ市場では、国債利回りと米ドルが同時に上昇した為、ゴールドが下落しました。ゴールドは米ドル建てで金利が発生しない為、国債利回りが上昇すると、ゴールドの魅力も低下します。

総じて、ゴールドの見通しは依然として楽観的ではありません。パンデミック以来、利回りがゴールド相場に大きく影響しています。昨年には、利回りが最低水準を更新しましたが、ゴールド上昇には繋がりませんでした。利回り低下時にゴールドが上昇しない場合、金融正常化により国債利回りが上昇すると、ゴールドは一段と下落するでしょう。

本日に開催されるOPECプラスの会合では、現行政策維持が予想されています。この場合、市場への影響は限定的で、原油相場は本日のリスクムードに反応して動くでしょう。本日に発表される米12月ISM製造業景況指数は、最新の米経済状況を明らかにするでしょう。