デイリーマーケットコメントー米株価最高値更新、静かな市場で米ドルは安値から回復

投稿日: 2021年12月30日20時17分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 流動性が低下する中、米株価が最高値を更新し、株式市場は強弱混合の動き
  • 世界的な感染者数急増で、市場の楽観ムードが試される展開
  • 国債利回り上昇で、米ドルは安値から回復

新規感染者数増加にもかかわらず、楽観ムードが緩やかに回復

本日の市場は、世界の多数の地域でのオミクロン株拡大のリスクを再評価し、緩やかなポジティブムードとなりました。ホリデーを控え、流動性の低下が市場のボラティリティを若干引き起こし、ホリデーによる薄商いの市場に刺激を与えました。

世界中でオミクロン株の感染が急速に拡大し、米国、英国、オーストラリア、及びフランスを含む複数の国では、一日の新規感染者数が過去最多を記録しました。一方で、多数の研究結果では、オミクロン株は他の変異株よりも重症化しない傾向が明らかになっています。主要経済国での高いワクチン接種率により、オミクロン株による規制強化の必要性は低いと市場は判断しているようです。

しかしながら、コロナゼロ政策を維持している中国では、西安市が大規模なロックダウンを実施しています。西安市は中国製造業の中心都市の一つであり、米マイクロン・テクノロジーは、ロックダウンによる半導体メモリー生産への影響を明らかにしました。

半導体メモリー不足は、世界のサプライチェーンに影響を及ぼしているだけでなく、自動車価格も押し上げています。一方、韓国の11月鉱工業生産の力強い回復は、半導体不足解消に繋がるポジティブなニュースでしょう。中国政府が2022年の国債発行枠増加による借り入れコスト低下を示唆した為、追加緩和政策への期待も広がっています。

年末により、本日の市場は静かな動き

市場の楽観ムードは復活しつつあり、流動性低下にもかかわらず、新規感染者数増加への懸念は、急落を引き起こしていません。殆どの大口トレーダーはポジションを手仕舞いしている為、翌年まで市場には大きな動きは起こらないでしょう。

中国株式市場の終値は上昇したものの、日経平均株価は0.4%値下がりし、2021年最後の取引日に上昇幅を維持できませんでした。欧州株式市場は強弱混合でのスタートとなり、米主要株価先物指数は上昇して推移しています。

昨日の米株式市場は、サンタクロースラリーを再開させ、S&P 500 及びダウ工業株は最高値を更新しました。しかしながら、緩やかな上昇に留まり、ハイテク銘柄の上値が重くなった為、ナスダック指数は下落しました。

昨日の米7年債入札は低調な結果は利回り上昇に繋がり、金利に反応する銘柄が値下がりました。入札の低調な結果の背景には、殆どの投資家が休暇に入っていたことが主な要因です。イールドカーブには若干の動きが見られ、最も堅調な動きを見せているのは10年債利回りで、1.56%まで上昇しました。

年末の静かな市場で米ドル回復

本日の債券市場は比較的静かな動きとなり、国債利回り上昇は昨日の米ドル相場にも大きくは影響しませんでした。

昨日に急落した米ドルは、本日には回復し、対主要通貨で0.3%上昇しました。円は対米ドルでの下落を継続し、ドル/円は一時115円台越えを達成しました。円は11%以上下落して、今年の取引を終える模様です。昨日に対米ドルで1.35ドル台を割り込んだポンドも、下落基調が継続しています。

ユーロは狭いレンジ幅内で取引を継続し、7%以上下落して2021年の取引を終える方向に向かっています。コモディティ通貨では、今週の豪ドルは、NZドルやカナダドルよりも大幅に上昇しました。しかしながら、年初から比較とすると、3通貨中、最も下落した通貨になります。