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スタグフレーションへの根強い懸念で、市場ムード再度悪化
昨日、経済成長鈍化、及びインフレ上への懸念が再び強まり、世界の株価が下落しました。世界的な供給不足、及びコモディティ価格上昇は、デルタ変異株の感染拡大をまだ収束できてない主要国経済の見通しを悪化させています。更に、経済成長鈍化にもかかわらず、中央銀行が金融引き締めに向けて方向転換を始めたことも、見通し悪化の要因となっています。
過去数か月間、スタグフレーションの新時代への懸念が緩やかに積み上がっており、昨日の米9月サービス業PMIの予想を上回る結果は、市場の懸念を一部緩和させたに過ぎませんでした。米9月サービス業PMIの強い結果に加えて、英国とユーロ圏の9月サービス業PMI改定値も上方修正されました。
昨日、世界的なシステム障害後の下落からフェイスブック株が回復し、米経済指標が好調な結果となった為、米株価が数年ぶり安値から回復しました。国債利回り上昇によりハイテク銘柄の上値が重くなり、原油価格上昇の継続がインフレ長期化懸念を強め、Eミニ先物指数は約1%下落しています。
本日のアジア、及び欧州株式市場も下落基調となっており、今週金曜日の米雇用統計発表まで市場の慎重姿勢は継続するでしょう。米雇用統計が強い結果となった場合、市場ムードが改善する可能性があります。
原油価格急騰で市場の懸念悪化
原油先物指数の最高値更新は、インフレ長期化観測を上昇させ、国債利回りを数か月ぶり高水準まで引き上げています。本日、米10年債利回りは、6月以来初めて1.57%まで上昇しました。OPEC会合では、大幅増産が見送られただけでなく、大幅増産に向けた動きも示唆されなかった為、原油価格が一段と上昇しました。
本日、WTI原油先物は、79ドル台越えでスタートし、7年ぶり高値を更新しました。ブレント原油先物も3年ぶり高値を更新しました。
米ドルは一段と上昇、リスク通貨は下落
本日、円、スイスフラン、及び米ドル等の安全資産は堅調推移しました。米ドルは対主要通貨で1年ぶり高値となり、リスク通貨のポンド、豪ドル、及びNZドルは下落しました。
過去1週間、大幅に回復したポンドは、イングランド銀行による早期利上げへの懸念で、対米ドルで1.36ドル台を割り込みました。英国内での物流遅延の長期化への懸念も、ポンドの短期的な見通し悪化に繋がっています。
ユーロも対米ドルで1.1551ドルを割り込み、14か月ぶり安値となりました。独8月鉱工業生産の脆弱な結果がユーロ圏経済回復の見通し悪化に繋がりました。
NZ利上げにもかかわらず、NZドル下落
コモディティ通貨に関しては、原油価格急騰がカナダドル下落を緩和させたようです。豪ドルやNZドルと比較して、カナダドルの下落幅は小さく、コモディティ通貨で最も下落したのは、NZドルでした。本日、ニュージーランド準備銀行が7年ぶり利上げを発表したにもかかわらず、NZドル急落を阻止できませんでした。
市場の予想通り、ニュージーランド準備銀行は0.25%の利上げを決定し、緩和政策縮小の可能性を示唆しました。しかしながら、ロックダウン延長による国内経済への影響、及び世界経済鈍化を鑑みると、ニュージーランド準備銀行の利上げ観測も以前ほど強気の予想にはならないでしょう。ニュージーランド準備銀行が当初の予定通り金融引き締めを行わないと市場が判断した場合、今後数か月間のNZドルは上値の重い展開となり、11月の政策会合で最新の見通しが明らかになるまで継続するでしょう。