デイリーマーケットコメントー米ドル上昇、ゴールド上昇、株価下落

投稿日: 2021年9月17日18時39分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米小売売上高の予想外に好調な結果で米ドル一段高
  • 国債利回り上昇でゴールド下落
  • クラドラプルウィッチング、及び中国不動産市場のリスクで株価下落

米小売売上高再び上昇

昨日に発表された米8月小売売上高は、市場予想の減少に反して、増加しました。GDPにも計上される米小売売上高は2.5%増となり、先月分の減少を相殺しただけでなく、増加しました。

小売売上高の結果は、翌週のFOMC会合での11月テーパリング観測を上昇させ、米ドルと米国債利回りの上昇に繋がりました。

テーパリング示唆に加えて、市場は「ドットプロット」にも注目するでしょう。あと3名のFOMCメンバーが2022年の利上げを支持した場合、中央値が押し上げられて、市場予想よりも早期の利上げが示されます。

ドットプロットでの中央値上昇は、今後数か月内に承認される公算が大きい追加財政刺激策による財政支出増加を考慮し、FOMCメンバーが新たな経済見通しを織り込むか次第でしょう。その場合、明るい経済見通しにより、あと3名のFOMCメンバーが翌年の利上げを予想する可能性も高くなります。

ゴールド下落

米ドルと国債利回りのポジティブな要因は、米ドル建てで金利が発生しないゴールドにはネガティブな要因となります。翌週のFOMC会合でタカ派寄り見解が示される可能性により、投資家が利益確定売りに動いた為、昨日のゴールドは下落しました。

ゴールドは約2.7%下落後、1745ドル付近で買戻しの動きが見られ、若干回復しました。

FRBが利上げ時期を先延ばししても、ゴールド高の流れは継続しないでしょう。大きなリスク要因によって、安全資産のゴールドの需要が増加しない限り、ゴールド高の流れにはならないでしょう。

米株式市場は荒い値動き

最近の株式市場には、大きな動きがあります。FRBによる流動性供給の削減、及び中国不動産市場のリスクにもかかわらず、米小売売上高の強い結果が材料視されて、昨日の米株式市場は荒い値動きの後、始値とほぼ同じ水準で引けました。

現在の所、中国恒大集団のデフォルト危機による他市場への影響は見られていません。中国の不動産銘柄、及びジャンク債のみに影響しているようです。銀行間の貸出金利の安定して推移しており、金融システムの混乱の兆しも見られません。通常、金融機関が流動性危機に直面した場合、銀行間の貸出金利は不安定になります。

しかしながら、世界市場が大きなリスクに直面していることに変わりはありません。デフォルトのドミノ効果は中国政府が阻止できる為、実際のリスクはGDPの28%を占める不動産業への打撃による経済成長鈍化でしょう。

本日は、株式先物、株価指数先物、株価指数オプション、及び個別株オプションの満期が重なる「クラドルプルウィッチング」の日です。ファンドマネージャー、及びマネーマネジャーがポジションを再調整する為、市場が荒い値動きとなる可能性があります。

翌週は、FOMC、日銀、スイス国立銀行、及びイングランド銀行の政策会合に加えて、カナダ総選挙も予定されています。