デイリーマーケットコメントー中国の不安定なリスクに市場が注目

投稿日: 2021年9月16日19時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 中国恒大集団がデフォルトの危機―経済への影響懸念
  • 米株価は回復、原油高継続
  • 米小売売上高の結果はが静かな外国為替市場を若干動かす可能性

市場は中国リスクの波及の可能性を過小評価

市場の関心は、引き続き中国市場に向けられています。中国第2位の不動産開発会社である中国恒大集団はデフォルト危機に直面している為、状況は一段と深刻化しました。本日、中国当局が恒大集団の主要債権銀行に、20日が期限の利払いを同社が行わない見込みだと明らかにしました。通常は、債券不払いは経営破綻に繋がります。負債総額は約3000億ドルで、中国GDPの2%に相当します。

不動産業は中国経済の約3分の1を占めます。銀行部門の規模はGDPの3倍となり、民間企業の債務不履行も抱え込んでいます。

増大した債務、及び債務を抱えた企業への銀行の融資により、中国のシステムは脆弱化しています。2018年に中国人民銀行によって、経済全体へのシステム的リスクが高いと見なされた企業がデフォルト危機に直面しています。中国恒大集団のデフォルトによって、金融機関も深刻な被害を受ける為、ドミノのように市場全体に影響が及ぶことは容易に想像ができます。

当然ながら、中国政府は回避に向けて動くでしょう。民間部門は債務超過に喘ぐことになりますが、政府には様々の対応策があります。中国政府は、最も脆弱な企業を救済することで、ドミノ効果を回避することもできます。

現在、中国の脆弱なシステム、経済成長鈍化の兆し、及び中国当局による規制強化等、様々なリスクがあります。中国政府はデフォルトを回避できたとしても、国内のレバレッジ問題を悪化させずに、経済成長を活性化させることはできないでしょう。

中国の問題は、現在の世界経済を取り巻く最大のリスクになります。現在の所、影響は中国株式市場、及び香港株式市場で留まっています。しかしながら、事態が一段と深刻化した場合、中国に影響を受けやすい豪ドルやNZドルまで打撃を受けるでしょう。

米株価回復、原油価格上昇

昨日の米株式市場は、全面高で引けました。S&P 500は約0.9%値上がりしました。

昨日、バイデン大統領は、3.5兆ドル規模の財政刺激策への支援の為、民衆党内で最も保守寄りと見なされるマンチン上院議員とシネマ上院議員と共に協議を行いました。大規模の財政刺激策は大型増税とセットになっている為、市場にとっては諸刃の剣となるでしょう。

米国内の在庫減少により、原油価格は高値を維持しています。最近のハリケーン上陸、及び世界的な電気料金引き上げも原油高の追い風となりました。

米小売売上高低下、豪ドル下落

本日には、米8月小売売上高に注目が集まるでしょう。市場予想の2か月連続での低下は懸念材料になります。しかしながら、今年に入っての小売売上高の急激な増加を鑑みると、若干の調整の動きは当然の流れとなるでしょう。消費鈍化よりも、正常化の兆しと見なされるでしょう。

豪雇用統計の低調な結果を受けて、本日の豪ドルは上値の重い展開となりました。労働参加率が減少した為、失業率の低下は限定的となりました。ロックダウン中の求職への消極的な姿勢が浮き彫りとなりました。