デイリーマーケットコメントー米ドル回復、ジョンソン首相の増税計画でポンド下落

投稿日: 2021年9月8日18時51分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 国債利回り上昇で、米雇用統計発表後の下落から米ドルは一段と回復
  • 新型コロナウイルス禍の影響により、英政府が増税計画を公表し、ポンドは1週ぶり安値
  • カナダ中央銀行の政策会合を控え、カナダドル下落

11月テーパリング観測上昇を受けて、米ドル上昇

米8月雇用統計の予想を下回る結果がテーパリング時期に影響を及ぼす可能性に市場は懐疑的になりつつある為、米ドルは先月末の下落幅を回復しました。FRBが今年後半までにテーパリングに踏み切る公算が大きいものの、市場はインフレ見通しを若干懸念しているようです。

供給遅延、及び供給不足が早期に解決する可能性が低い為、インフレが長期化する見通しです。更に、労働市場の回復鈍化は、FRBの債券買い入れ継続に繋がり、燃料価格を押し上げるでしょう。

インフレ懸念の背景には、先週金曜日以来、国債利回りが予想外に上昇していることがあります。昨日、米10年債は8週ぶり高水準1.3850%まで上昇し、本日には若干低下した1.35%付近で推移しています。

アジア取引時間中に1週間ぶり高水準まで上昇した米ドルインデックスは、その後若干低下し、92.55で推移しています。今後48時間、市場はFRBメンバーの発言に注目するでしょう。本日後半には、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言が予定されています。本日、既に発言したセントルイス連銀のブラード総裁は、英紙ファイナンシャルタイムズのインタビューにおいて、早期テーパリング開始を主張しました。

ゴールド下落、原油価格上昇、しかしながら、カナダ中銀の政策会合控えカナダドル下落

国債利回り上昇、及び米ドル高により、昨日のゴールドは1週間半ぶり安値1791.90ドルまで急落しました。本日、ゴールドが1800ドル台回復を達成するかは、FRBメンバーが早期テーパリングをどれくらい支持するか次第となるでしょう。

一方、ハリケーンによって停止していたメキシコ湾岸での原油生産の緩やかな再開を受けて、本日には原油価格が上昇しました。しかしながら、カナダドル上昇には繋がらず、カナダドルは対米ドルで1.27カナダドルまで下げ幅を拡大させました。

GMT14:00に予定されているカナダ中央銀行の政策発表では、現行政策の据え置きが予想されています。最近、カナダ経済の回復スピードは増加し、今週発表の雇用統計にも順調な経済回復が反映される模様です。しかしながら、デルタ変異株の感染者数が世界的に上昇している為、カナダ中央銀行が慎重姿勢を示す可能性が予測されています。そのため、カナダドルの上値が重くなっています。

カナダ中央銀行がテーパリングの継続を公表し、10月の追加テーパリングを示唆した場合、カナダドルは回復するでしょう。更に、今週は下落基調となっている豪ドルとNZドルの上昇に繋がる可能性もあります。

ジョンソン首相の増税計画でポンド下落

ユーロとポンドは、対米ドルでの下落を継続しています。明日のECB政策会合では、資産買い入れ額の縮小が予測されています。しかしながら、ECBよりもかなり前に、FRBがパンデミック緊急購入プログラムを終了させる公算が大きい為、ユーロの上昇は限定的となっています。

ユーロ/ドルは1.1816ドル付近で、ポンド/ドルは1週間ぶり安値の1.3750ドル付近で推移している為、共に三日連続での下落となるでしょう。

経済再開後の英経済の回復がピークに達した兆しにより、最近のポンドの上値が重くなっているようです。しかしながら、本日にはポンド安を一段と進める要因がありました。ジョンソン首相が増税計画を公表し、英国が西欧諸国で新型コロナウイルス禍の影響による増税を向上した最初の国となりました。

ジョンソン首相が提案した医療、及び社会福祉財源の為の国民健康保険料引き上げには、党内でも意見が分かれています。本日の英議会下院での採決では、ジョンソン首相は賛成に十分な支持を獲得できる模様です。しかしながら、増税が英経済鈍化に繋がる可能性が危惧されている為、中期的にポンドの上値は重くなるでしょう。