デイリーマーケットコメントー豪中銀のハト派的テーパリングで豪ドル安、米ドル一段高

投稿日: 2021年9月7日18時58分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 豪中銀はテーパリング実施を維持したものの、テーパリング時期延長;豪ドルは上昇後下落
  • 米ドルは底堅く推移、中国貿易収支の強い結果で、株価上昇
  • カナダ中央銀行、及びECBの政策会合に注目

デルタ変異株の感染拡大が継続する中、豪中銀はハト派的テーパリングを決定

本日、オーストラリア準備銀行が予定通りテーパリングを実施し、債券買い入れ額を週10億豪ドル削減する方針を公表しました。国内のロックダウン延長による経済回復鈍化を予測し、オーストラリア準備銀行は、債券買い入れ期間を来年2月まで延長する方針を決定しました。

デルタ変異株は、テーパリング計画の変更には繋がりませんでした。しかしながら、感染拡大のピークにはまだ達しておらず、ワクチン接種率が70%-80%に達成するにはあと数週間は必要となる模様です。オーストラリア準備銀行は、豪経済が前回のロックダウンから迅速に回復しない可能性を危惧しているようです。

債券買い入れ期間の延長は、豪ドルにとって短期的には若干のマイナス要因となりました。本日前半の豪ドルは、対米ドルで0.7408ドルの安値まで下落しました。一部の市場参加者は、テーパリング計画が停止にならなかったことに落胆し、本日の決定は若干ハト派寄りと見なされ、政策発表後の豪ドルは一時上昇しました。テーパリング期間が一段と延長となった場合、パンデミック後の利上げ時期も2024年から2025年に延長となる為、豪ドルにとってより大きなリスクとなるでしょう。

次はカナダ中央銀行とECBの政策会合に注目

明日に予定されているカナダ中央銀行の政策会合では、テーパリング方針への変更は予測されていません。世界の多くの地域での経済鈍化の兆しを鑑み、カナダ中央銀行がより慎重姿勢を示すリスクもあります。

市場の最大の関心は、テーパリング決定が予想されている木曜日のECB政策会合に向けられるでしょう。ECBが詳細な出口戦略を発表する公算は低くく、「著しく加速したペース」での債券買い入れの見直しに留める可能性があります。ECB内での意見の相違、及びパンデミック緊急購入プログラムの削減時期の示唆に市場は注目するでしょう。

直近でのユーロ/ドルは、若干下落した1.1864ドルで推移し、カナダドルは対米ドルで0.2%値下がりしました。

米ドル高の流れにより、ポンドは二日連続での下落となりました。今週水曜日と木曜日には、FRBメンバーの発言が控えている為、FRBに注目が集まるでしょう。8月の米雇用統計への見解は市場の注目を集めるものの、11月テーパリングに影響が及ぶ可能性は低く、米ドル相場の反応は限定的でしょう。

米株価先物指数は、最高値更新目前

米株式市場は、11月テーパリングを既に織り込んでいる為、当面の間、株高の流れは継続するでしょう。本日、ナスダック指数先物は高値付近を維持しているものの、上昇幅は僅かでした。中国、及び日本の株式市場での株高の流れにもかかわらず、欧州株式市場は概ね下落基調となりました。

本日の中国8月貿易収支の強い結果は、経済指標の脆弱な結果が続いた市場にとって、安心材料となりました。8月輸出の強い結果は、感染の再拡大による国内消費鈍化を一部補ったようです。しかしながら、常に新たな展開が発生する新型コロナウイルスの先行き不透明感により、慎重ムードは継続するでしょう。