デイリーマーケットコメントー本日は、米雇用統計に注目

投稿日: 2021年9月3日18時51分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米雇用統計発表を控え、米ドルは様子見ムード
  • 株価、及びコモディティ通貨は上昇継続
  • 菅首相退任表明、新たな経済政策への期待で日経平均株価上昇

市場は米非農業部門雇用者数の脆弱な結果を予測

雇用統計の結果がテーパリング観測に大きく影響する為、本日、市場の最大の関心は、米雇用統計に向けられるでしょう。

米8月非農業部門雇用者数は75万人増、米8月失業率は5.2%と予想されています。予想通りの結果となった場合、完全な労働市場回復まで残り500万人程となります。

約250万人のパンデミックによる早期退職者は、再就職する可能性が低く、年末までに米国が完全雇用に戻る可能性が浮上しつつあります。現在のペースが継続すると、数か月で完全雇用を達成するでしょう。経済回復に伴う求人率増加、失業給付金の期限終了により、完全雇用が現実的になりつつあります。

米8月ADP全国雇用者数は僅か37.4万人となり、米8月マークイット総合PMIは1年ぶり最低水準となり、米8月ISM製造業景況感指数の雇用指数は50を割り込みました。したがって、市場は、米雇用統計の低調な結果を織り込んでいるようです。

最近の米ドル、債券、株価の動きから判断すると、市場はかなり脆弱な結果を予想しているようです。したがって、米非農業部門雇用者数が予想通りの結果となった場合でも、9月テーパリング観測が再浮上し、米ドルが大幅に回復する可能性があります。

株高継続、豪ドルとNZドルは上昇

米雇用統計の脆弱な結果がテーパリング時期後退への期待に繋がり、昨日の米株式市場は僅かに上昇して引けました。興味深いことに、マンチン米上院議員が議会民主党は3兆5000億ドルの財政支出案の成立を一旦立ち止まるべきと発言したものの、市場は材料視しませんでした。

マンチン米上院議員は、債務増加、及びインフレ上昇を考慮すると、議会は財政出案を早急に成立させるのではなく、一旦立ち止まるべきと主張しました。上院での議席数は、民主党と共和党で50議席ずつとなっており、財政支出案の成立には、1票も失うことができません。マンチン米上院議員の発言は政治的な戦略に過ぎず、増税の規模縮小で賛成する可能性もある為、現在の所、市場は材料視していないようです。

市場のリスクオンムードを受けて、豪ドル、及びNZドル等のコモディティ通貨が回復し、対米ドルで約1.8%上昇して今週の取引を終える模様です。最近の感染拡大による回復を背景に、豪ドルとNZドルは2週連続で上昇しています。

菅政権退陣で、日経平均株価上昇

本日、菅首相は自民党総裁選に立候補しない意向を表明しました。ワクチン接種率が低い中、新型コロナウイルスの感染が拡大し、最近の菅政権への支持率は低迷しています。

菅政権の退陣により、新たな経済対策が打ち出されるとの期待感から買いが広がり、日経平均株価は2%値上がりしました。9月29日予定されている自民党総裁選では、1位の候補者が新総裁となります。

中国では、8月PMIの脆弱な結果により、経済回復鈍化が浮き彫りになりました。経済回復に向けた中国政府の対応に注目が集まる一方で、過剰債務への警戒感も強まっています。

本日には、米雇用統計に加えて、FRBの方針に影響する米8月ISMサービス業PMIにも注目する必要があるでしょう。