デイリーマーケットコメントー米雇用統計の脆弱な結果予測で、米ドル下落

投稿日: 2021年9月2日19時26分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米労働指標の脆弱な結果で、明日の米非農業部門雇用者数の予想も低下
  • 米ドルは一段安、株価は最高値付近を維持
  • OPECが現行政策の維持を決定し原油価格下落、ゴールドは静かな動き

米非農業部門雇用者数のの脆弱な結果予測に市場は警戒

FRBが遂にテーパリング着手に向けて動き出す期待が市場で大きくなる中、市場の関心は明日の米雇用統計に向けられるでしょう。米雇用統計の結果が9月テーパリング発表に影響するでしょう。最近の米労働指標の脆弱な結果から判断すると、米雇用統計が強い結果となる公算は小さいでしょう。

米8月ADP全国雇用者数は、市場予想の61.3万人増に対して、37.4万人増となりました。過去数年間、ADP全国雇用者数と非農業部門雇用者数の連動性は低い傾向にある為、米8月ADP全国雇用者数の結果は材料視されませんでした。しかしながら、米8月ISM製造業PMI、及び米8月マークイット総合PMIも脆弱な結果となった為、市場の懸念が強まりました。

昨日、非農業部門雇用者数の結果が予想を下回る可能性、及び9月テーパリング発表の後退により、米ドルは対ユーロで1か月ぶり安値まで急落しました。米雇用統計の脆弱な結果でテーパリング発表が先送りになっても、テーパリングが中止になることはないでしょう。

米労働市場には底堅い動きがあり、求人率が失業率をうわまわっています。つまり、数百万人の労働者が適切な機会を待っている状況です。失業給付金の期限が終了し、今後数か月間は、雇用が増加するでしょう。パンデミック後の早期退職者が、約250万人いることを考慮すると、今年末までには、米国の完全雇用が復活する公算が大きいでしょう。

米株式市場は、米非農業部門雇用者数の発表待ち

昨日の米株式市場は、非常に静かな動きとなりました。米経済成長鈍化の兆しよりも、FRBが当面の間は量的緩和を継続する見通しが材料視され、米株式市場は中立的ムードで今月をスタートしました。

米企業の四半期決算シーズンも終わり、米株式市場が最も重視するのは、今後の金融政策、及び財政刺激策でしょう。したがって、米株式市場の見通しは明るいようです。FRBは市場への打撃を回避しながらテーパリングを進める模様で、今後数年間の米経済成長に向けて、民主党は大規模な財政刺激策の承認に向けて動いています。

米株式市場の最大のリスクは、一部の銘柄のバリュエーションが高騰し、オプション取引に注目が集まっていることでしょう。問題は、バリュエーションが高騰すれば、下落の反動も大きくなることです。

豪ドル、NZドル上昇、ゴールドも回復

米ドル安により、今週の豪ドルとNZドルは、回復しました。市場は、来月のニュージーランド準備銀行での利上げを再度織り込みつつあります。豪ドル上昇の継続は、翌週のオーストラリア準備銀行の政策会合でのテーパリング方針次第となるでしょう。

エネルギー市場では、OPECプラスが増産の継続を決定しました。ロシアのエネルギー相が供給増加の可能性を示唆した後、原油価格は一時下落したものの、その後には回復しました。

今週のゴールドは、米ドル安の恩恵を受けることができず、下落基調となっています。明日の米非農業部門雇用者数が脆弱な結果となった場合、ゴールドが回復し、1835ドル台を試す可能性があります。しかしながら、テーパリング観測により、ゴールドの長期的な見通しは悪化しつつあります。