デイリーマーケットコメントーパウエル議長の発言を控える中、FRBメンバーの発言で株価下落

投稿日: 2021年8月27日19時10分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 3名のFRBメンバーが9月テーパリングを支持;米株価下落、米主要株価先物指数回復
  • ジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言を控え、米ドルは下落
  • アフガン情勢、及デルタ変異株への警戒感で市場のリスクオンムード後退、ゴールド上昇
  • 中国人民銀行の金融政策で市場の懸念緩和、株価は強弱混合の動き

タカ派寄りFRBメンバーは9月テーパリングへを支持;パウエル議長の発言に注目

本日後半のジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言に市場の注目が集まる中、過去24時間で3名のFRBメンバーがテーパリングへの見解を明らかにしました。ジャクソンホール会議でのホスト役を務めるカンザスシティ連銀のジョージ総裁を始めとして、セントルイス連銀のブラード総裁とダラス連銀のカプラン総裁は、9月テーパリング支持の見解を示しました。

タカ派的発言を受けて、パウエル議長がテーパリング時期間近を示唆する憶測が広がり、国債利回りが一段と上昇しました。しかしながら、ハト派寄り方針だけでなく、FRBメンバーが直接顔を合わせて協議することができない為、ジャクソンホール会議でパウエル議長が明確なテーパリング時期を示す公算は小さいでしょう。

一方、今秋のテーパリング発表は一段と確実になりつつあります。焦点は、テーパリングの開始時期と終了時期です。セントルイス連銀のブラード総裁は、テーパリングは2022年第一四半期での終了が望ましいとの見解を示しています。世界でデルタ変異株の感染が広がる中、ブラード総裁の見解は、市場では、かなり早急な計画と見なされる可能性があります。パウエル議長は、テーパリングと感染拡大による下振れリスクとのバランスを取りながら、適切なメッセージを伝える必要があるでしょう。

テーパリングが段階的に実施されることが市場に伝わらない場合、テーパリングへの不透明感を大きくするでしょう。

米株価は下落したものの、パニックの動きはなし

5日連続の上昇後、テーパリングへの懸念により、昨日の米株価は0.5%から0.6%値下がりして引けました。アフガニスタンのカブール空港付近での爆発も株価下落の追い風となりました。アフガニスタンの情勢が悪化しているものの、現在の所、市場の反応は限定的で、今後も市場は大きくは反応しない模様です。

本日の米主要株価先物指数は回復し、米株式市場は0.3%上昇してオープンする見通しです。欧州株価は、強弱混合の動きとなっています。アジア市場では、感染拡大への警戒感により、中国株価のみが上昇して引けました。

新規感染者数が増加しているのは、ワクチン接種率に低い国だけではありません。米国内の入院者数は10万人を超え、英国では新学期開始後の感染者数急増が懸念されています。

多くの中央銀行が金融引き締めに向けて動き始める中、今後の感染状況悪化見通しにより、市場では量的緩和継続への期待が大きくなっています。

韓国の中央銀行は、パンデミック後初めて利上げに踏み切りました。一方、今週、中国人民銀行は、市場の懸念を緩和させる為、金融システムへの流動性供給量を増加させ、市中銀行の預金準備率の引き下げも示唆しました。

パウエル議長の発言を控え、米ドル下落

今後の見通し悪化、及び地政学リスクの上昇により、昨日のゴールドは値上がりしました。本日前半のゴールドは、一時1800ドル台越えを達成し、その後若干下落したものの、0.3%上昇しています。

欧州取引時間では、米ドル高の流れがゴールドの上値を重くしているようです。殆どの主要通貨は対米ドルでの上昇幅を維持し、ポンド安により米ドルインデックスが若干上昇したようです。

今後の感染状況悪化への懸念がポンド下落に繋がっているようです。豪ドル、カナダドル、NZドル等のリスク通貨は、大きく回復しました。

GMT14:00のジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言に加えて、米7月PCEコアデフレーター、及び米7月個人所得にも市場の関心が集まるでしょう。