デイリーマーケットコメントー米株価下落、米ドル上昇、NZ中銀は政策金利を据え置き

投稿日: 2021年8月18日20時08分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 7月小売売上高の脆弱な結果で、米株価下落
  • リスクオフムードにより、FOMC議事録待ちの米ドルは上昇
  • NZ中銀は利上げは「先延ばしで、中止ではない」と明らかにし、NZドルは荒い値動き

株価は下落したものの、緩やかな下落

本日の世界市場は、大きな動きが見られました。米7月小売売上高の予想を下回る結果は、個人消費が鈍化し、経済成長がピークに達した懸念を一段と大きくしました。米7月小売売上高の結果を受けて、米株価も下落しました。

米株価は緩やかな下落に留まり、パニック売りは見られませんでした。S&P 500は、僅か0.7%の下落となりました。米株価の最高値付近での推移、及び高いヴァリュエーションの維持は、FRBのテーパリング、及び米国やアジアでのデルタ変異株による感染拡大に影響されない米株価の堅調さを浮き彫りにしました。

米株価のレジスタンスの背景には、FRBのテーパリングへの慎重姿勢、及び米議会での追加財政刺激策承認への期待があるようです。テーパリングが実施されても、金融政策は依然として緩和的であり、財政刺激策も継続します。

株価は常に下落する可能性がありますが、当面の間、投資家の押し目買いは継続するでしょう。

米ドル高継続、FRBの議事録に注目

外国為替市場は、経済成長懸念時の典型的な反応を見せました。リスクムードに敏感に反応するポンド、及びコモディティ通貨が下落しました。

米小売売上高の脆弱な結果にもかかわらず、リスクオフムードにより、米ドルが最も上昇した通貨となりました。米ドルは、リスクオフ時の資金の流入先として再認識されました。

現在、ユーロ/ドルは今年の最安値を試す展開となっています。ユーロ/ドルが今年最安値を割り込むかは、本日のGMT18:00に発表されるFRB議事録の内容次第となるでしょう。しかしながら、テーパリングの情報は、FRB議事録ではなく、翌週のジャクソンホール会議で発表されることになるでしょう。ジャクソンホール会議では、9月或いは11月のテーパリングが正式に発表されるかに注目が集まります。

しかしながら、テーパリングは実施される為、実施時期が9月になるか、11月になるかは、大局的な流れの中であまり違いはありません。米ドルは、特に低金利のユーロ、及び円に対して、上昇相場を継続するでしょう。

NZ中銀は政策金利の据置を決定、NZドルは荒い値動き

本日、最も大きく動いた通貨はNZドルでした。ニュージーランド準備銀行は、政策金利の据え置きを公表しました。数日前までは確実視されていた利上げは、昨日のロックダウンにより、異なる結果となりました。

ニュージーランド準備銀行の政策金利据え置き決定を受けて、NZドルは下落しました。しかしながら、ニュージーランド準備銀行のオア総裁の発言後、NZドルは回復しました。オア総裁は、金融正常化が先延ばしされたに過ぎず、中止になったわけではないことを明確に示しました。利上げ観測が上方修正され、翌年末までの5回の利上げが予想されています。

重要なことは、今回の動きは政策の方向転換ではなく、利上げへの道程上のスピードバンプに過ぎなかったことです。現在、NZドル相場の動きは、国内の感染状況次第となるでしょう。ニュージーランドが国内の感染拡大を再度抑え込むことができるのか、或いはオーストラリアと同様にロックダウン延長を余儀なくされるかに市場が注目するでしょう。今後の感染状況は、ニュージーランド準備銀行の政策にも影響を及ぼすでしょう。