デイリーマーケットコメント–米株価回復、米小売売上高に注目

投稿日: 2021年5月14日18時49分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • テーパリング協議開始の観測後退で株価回復、米ドル下落
  • 米小売売上高で、荒い値動きとなる可能性
  • カナダ中銀総裁の発言でカナダドル下落、外国為替市場は静かな動き

株式市場は回復

米株式市場でのインフレ懸念は、一時的な現象に過ぎなかったようです。複数のFRBメンバーがインフレ上昇によるテーパリングの早期着手の公算は小さいとの見解を示したため、株式市場は今週の下落幅の一部を回復しました。

特にウォーラーFRB理事は、政策変更が適切であると判断するには、今後数か月間における経済指標の強い結果で見極めたいとの方針を明らかにしました。これにより、夏のテーパリング協議開始への懸念は後退しました。

昨日の米株価上昇前に、市場の回復は既に始まっていました。したがって、安値で買う動きは依然として健全のようです。複数の投資家は、夏の終わり、或いはそれ以降までテーパリング協議を開始しないことを織り込み、今回の下落を利用して、ハイテク株や成長株を割安で購入したようです。

現在の所、株式に代わって実質的なリターンを提供する投資先はありません。債券はインフレ上昇時にはリターンが期待できません。コモディティ市場は、現在の価格上昇、及び元来の不安定さに加えて、規模が小さすぎます。インフレのヘッジとして利用できるため、株式が唯一の投資先となっています。

本日は米小売売上高に注目

外国為替市場では、テーパリング協議開始の観測が後退し、米ドルの上値が再度重くなりました。米4月生産者物価指数の強い結果によるインフレ上昇の見通しを一段と強める可能性は、米ドル上昇には繋がりませんでした。

FRBが現行の方針を維持している為、米ドルの大幅な上昇は時期尚早のようです。本日に発表される米4月小売売上高は特に注目を集めるでしょう。過去数週間、米経済指標には若干の下落が見られました。米雇用統計が脆弱な結果となった一方で、インフレは一段と上昇しています。したがって、消費増加は、インフレ上昇の規模を示すでしょう。

米4月小売売上高が市場予想を大きく上回った場合、テーパリング協議開始の観測が再度浮上するでしょう。米ドルは恩恵を受けて上昇するものの、株価の反応は不透明です。投資家は、FRBによる流動性削減のリスクに対しての強い経済のバランスを考慮する必要があります。米4月小売売上高が脆弱な結果となった場合、FRBの方針は正当化され、米ドルは下落するでしょう。

今後のリスク見通しは、均衡状態となっています。4月は、大きく回復した月でした。ワクチンが広く普及し、経済が再開される中、給付金によって消費も増加しました。しかしながら、前回の非常に強い結果を考慮すると、今回は若干下落してもサプライズにはならないでしょう。

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カナダ中銀総裁の発言でカナダドル下落、外国為替市場は全体的に静かな動き

昨日、カナダ中央銀行のマックレム総裁の発言により、カナダドルが下落しました。マックレム総裁は、カナダドル高が急速に進んだ場合、金融政策に影響を及ぼす可能性を示しました。カナダ中央銀行によるテーパリング着手により、最近のカナダドルは急速に上昇しています。原油価格上昇、及び急速なワクチン普及もカナダドル高の追い風となっています。

米ドルの回復、及び原油価格の下落により、今週のカナダドルは若干下落しました。全体的な見通しは、依然としてポジティブになっています。カナダドル高の牽制発言以外には、カナダ中央銀行が対応できる対策はないでしょう。

カナダドル以外には大きな動きは見られず、殆どの通貨ペアは狭いレンジ幅内での取引となりました。