デイリーマーケットコメント–株高の流れ失速、インフレ上昇観測で米ドル回復

投稿日: 2021年5月13日18時51分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米消費者物価指数の強い結果で、米ドル回復、株価下落
  • 市場は翌年の米利上げを織り込み、しかしながら判断には時期尚早
  • 本日の米生産者物価指数、及び明日の米小売売上高に注目

米消費者物価指数の強い結果で、インフレ上昇観測

昨日の米4月消費者物価指数の非常に強い結果を受けて、利上げへの懸念が米株式市場で再度強まりました。米4月消費者物価指数は、市場予想を大きく上回る前年同月比4.2%増となり、FRBの流動性供給停止への観測を再燃させました。

昨年のインフレ低下後、物価上昇圧力の強まりに鈍化が見られたものの、需要が回復する中、コモディティ価格上昇や供給不足により、インフレは警戒レベルのスピードで上昇しています。

投資家が金融正常化時期の予測を再調整した為、市場は大きく反応しました。米ドルは大幅に回復し、株価は下落しました。ユーロ/ドル先物指数では、翌年12月までの利上げの可能性が約80%まで上昇しています。

今後の判断材料として、米小売売上高に注目

しかしながら、米4月消費者物価指数の結果は、FRBの方針を変更させるには不十分でした。インフレは上昇しているものの、米労働市場の回復は依然として十分ではありません。したがって、市場では先週の流れが継続しています。

米雇用統計は脆弱な結果となり、米消費者物価指数は強い結果となりました。今後の判断材料として、FRBは明日の米小売売上高の結果に注視するでしょう。米小売売上高の結果は、市場の懸念緩和に繋がるか、或いは夏の「FRB痛」に繋がるかに注目されます。

インフレが一段と上昇した場合でも、夏にテーパリング協議を開始するのは時期尚早かもしれません。FRBは時間をかけてテーパリング協議開始を市場に示唆する必要があり、特に労働市場からのテーパリング協議開始を裏付ける強い結果も必要になります。

ターニングポイントは、8月後半のジャクソンホール会合、或いは9月のFOMC政策会合になるでしょう。その時期に近づくまでは、米ドルの大幅な上昇、或いは株価下落の公算は低いでしょう。FRBの流動性供給は継続しています。

米株価の下落継続見通し、国債利回り上昇でゴールド下落

昨日の株安の流れを引き継ぎ、本日の米主要株価先物指数は下落してのオープンを示しています。国債利回りも上昇していることから、インフレ上昇観測により、投資家がポートフォリオを再調整し、債券を現金化しているようです。

コモディティ価格も下落しています。超緩和政策が「買い」の流れを作り出し、インフレ上昇見通しが「売り」も流れを作り出すのは、当然のことでしょう。

昨日、国債利回りの上昇でゴールドは下落し、米ドルが上昇しました。しかしながら、インフレ上昇観測、及び緩和政策の継続は、ゴールドの上昇要因です。FRBがテーパリング協議を開始するまで、ゴールド高は継続するでしょう。

米ドルの動きを除くと、外国為替市場は非常に静かな動きとなりました。最近の通貨市場は、株式市場の動きに反応しない傾向が続いています。

インフレ上昇観測を背景に、本日の米4月生産者物価指数に市場の注目が集まるでしょう。GMT14:00にはリッチモンド連銀のバーキン総裁、GMT17:00にはウォーラーFRB理事、及びGMT20:00にはセントルイス連銀のバラード総裁が発言予定です。