デイリーマーケットコメントー米中関係悪化、米感染者数増加で米株価下落

投稿日: 2020年7月14日19時25分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 感染者数増加を背景に、米国の多数の州での経済閉鎖への逆戻りにより、ナスダック指数下落
  • 米中関係悪化も株安要因、しかしながら米ドルとゴールドは安定推移
  • 今週は米四半期決算シーズン開始、経済指標発表、中央銀行の政策会合等のリスク材料満載

ハイテク関連株が予想外に下落

米国内での新規感染者数増加の継続が投資家心理に影響し、昨日の米株式市場は下落しました。ハイテク関連株の多いナスダック指数は、最高値付近で推移していたものの、2.1%下落して引けました。S&P500も下落しましたが、ダウ工業株は上昇基調を維持しました。

昨日、米国内最大の経済規模を誇るカリフォルニア州では、一部の経済封鎖が発表されました。バー、レストラン、美容室、及びスポーツジム等の屋内営業の停止が決定されました。フロリダ州では、一日での新規感染者数が過去最多を記録しました。

米国内の感染拡大が浮き彫りになりつつあります。最近までは、重要な経済活動の再開が維持される限り、経済回復への影響が懸念されていませんでした。しかしながら、感染拡大スピード鈍化の兆しがない中、多数の州で閉鎖措置に向けての動きも見られる為、リスク資産は感染拡大ニュースに敏感に反応するでしょう。

本日、市場は米国の第2四半期決算発表に備えているようです。米主要株価先物指数は、緩やかに上昇しました。アジア株式市場と欧州株式市場の下げ幅は、限定的となっています。本日には、JPモルガン、シティグループ、及びウェルズファーゴ等の銀行からの決算発表が予定されています。新型コロナウイルスによる航空業界への影響を見極める為、デルタ航空の決算発表にも注目が集まるでしょう。

リスクオフの流れで米ドル上昇、ゴールドは主要水準付近で推移

市場全体の流れとしては、静かなムードとなったものの、リスクオンの流れも弱まりました。米ドルは二日間の下落後、対主要通貨で上昇しました。一方のゴールドは、米中関係の一段の悪化に大きな反応を見せず、1800ドル付近で推移しました。

ポンペオ米国務長官が、中国の南シナ海領有権主張は「違法」であると発言し、米中関係が一段と緊迫化しました。トランプ政権が米国内の中国企業への規制を強化する中、米中の監査監督当局間で結んだ協定を破棄した場合、米中関係は一段と悪化するでしょう。

しかしながら、米国と中国は第一段階の合意は維持される見解を示していることから、市場は米中摩擦には殆ど反応していません。

中国の経済市場の強い結果は豪ドル高には繋がらず、英GDPの脆弱な結果でポンド下落

市場の関心は、米国での決算発表シーズン開始、水曜日の日銀の政策発表、及び木曜日のECB政策発表に向けられています。

木曜日に発表される中国第2四半期GDPも、市場の関心を集めるでしょう。本日に発表された中国6月輸出は、前年比で予想外に増加しました。中国6月輸入は、昨年12月以来の増加となり、世界、及び国内需要の増加を浮き彫りにしました。

中国経済指標の強い結果は、昨日の米株安で下落した豪ドルを回復させました。

明日に開催されるOPEC会合では、新型コロナウイルス危機によって同意した大幅な減産を緩和される可能性あり、原油価格は下落しました。これにより、カナダドルの上値も重くなりました。

欧州では、昨日後半に上昇したユーロが本日には若干下落しました。ポンドは、下落幅を拡大させました。英5月GDPの予想を大きく下回る結果は、経済回復への懸念を強め、ポンド/ドルは1.25ドルに向けて下落しました。