デイリーマーケットコメントー上昇後の市場は、リスクを精査するための様子見ムード

投稿日: 2020年7月7日20時12分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 中国株価上昇による楽観的観測が後退し、本日の通貨市場と株式市場は慎重ムード
  • 米ドルは緩やかに回復、メルボルンの都市封鎖で豪ドル下落
  • リスク資産の上値が重くなる見通し

中国株価上昇で、世界の株価も上昇、しかしながら、本日は上昇の勢いが失速

今週、世界市場は大きく上昇してのスタートとなりました。中国国営メディアが株価上昇見通しを明らかにしたことによる中国株上昇以外には、特に上昇要因はありませんでした。世界の殆どの株式市場は、最大1.5%上昇して引けました。一方で、安全資産の米ドルは下落しました。

中国株式市場の上昇は、香港での状況と関連があるのでしょうか?米国による新たな制裁により、米ドルの中国への流動性が大幅に減少する見通しです。そのため、中国の株価上昇は、中国政府による資本の国外流出の回避や、国外からの資本流入のための新たな戦略の可能性があります。

しかしながら、市場の関心が再び感染拡大や世界的需要への影響に向けられる為、本日には、世界的株価は下落に転じ、米ドルも下落幅の一部を回復するでしょう。米国の昨日の新規感染者数が減少した一方で、インドでは新規感染者数が急増し、イスラエルでは第2波が発生しています。米国内の新規感染者数の減少は、実際の減少ではなく、週末効果の可能性があるでしょう。

メルボルンの都市封鎖で、豪ドル下落

世界各地での感染拡大のニュースに懸念が上昇する中、オーストラリアの第二の都市、メルボルンは、感染拡大を阻止する為、6週間の都市封鎖を公表しました。このニュースを受けて、本日のオーストラリア準備銀行の慎重姿勢によって下落した豪ドルは、一段と下げ幅を拡大させました。

メルボルンの都市封鎖は、感染拡大を阻止できた後でも、再度感染拡大の可能性があることを浮き彫りにしました。これにより、本日のリスク資産の上値が重くなりました。

リスク資産の上値が重くなる見通し

 潤沢な流動性や異例の財政刺激策により、これまで市場はリスク要因を材料視していませんでした。しかしながら、経済回復の見通し悪化により、今後市場が上昇する見通しも後退しました。

株式やコモディティ通貨等のリスク資産は、今後需要が低下するでしょう。経済再開延期により、7月の米経済指標結果は悪化する可能性があり、米議会がどれくらいの規模の追加刺激策を提供できるかも不透明です。更に、企業の決算時期も近づきつつあります。

今後は、最近の米経済指標の強い結果により、市場の期待も上昇し、市場予想を達成することが困難になるのか、或いは今後の指標結果は市場予想を下回るかが注目されるでしょう。つまり、今後の経済指標は、今まで同様に強い結果は期待できないでしょう。

今後、経済指標は強い結果にならないというよりも、様々なリスク要因により下振れリスクの方が大きくなっています。

本日には、GMT1300にアトランタ連銀のボスティック総裁の発言、GMT1700にクォールズFRB副議長、及びイングランド銀行チーフエコノミスト、ハールディーン氏の発言が予定されています。