デイリーマーケットコメントー米株価最高値更新の可能性、円と米ドル下落

投稿日: 2020年7月6日19時32分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • V字回復への期待後退にもかかわらず、今週はリスクオンでスタート
  • 中国により世界の株価上昇、円と米ドル下落
  • 週末効果で本日の米新規感染者減少の場合、リスクオンの流れ継続
  • 本日は米ISM非製造業PMIに注目、明日は豪金融政策発表

中国輸出増加への楽観的観測により、ナスダック指数は最高値更新見通し

楽観的観測に繋がる目新しい材料がなかったにもかかわらず、今週は株価とコモディティ通貨が上昇してのスタートとなりました。中国国営メディアが中国株価の一段の上昇見通しを明らかにした後、中国株式市場は5%以上値上がりしました。

アジア市場の楽観的ムードが他の地域や市場にも広がりました。米主要株価先物指数は、3連休明けの本日には、最大1%上昇してのオープンを示しています。ハイテク関連株の多いナスダック指数は、最高値を更新するでしょう。一方で、円や米ドルの安全資産は下落しています。

チャートを見る限りでは、状況は改善しているように見られます。結局の所、中国は他国に製造品の輸出で依存しています。したがって、中国の株価が上昇するなら、投資家は世界の重要回復見通しを織り込んでいることになります。

米国内の新型コロナウイルス感染拡大

しかしながら、現実には、状況はそんなには甘くないようです。米国内での新型コロナウイルスの感染拡大は一段と深刻化しています。カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州、及びアリゾナ州では、一部にビジネスが閉鎖され、V字回復への期待が後退しました。カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州、及びアリゾナ州の4つ州の人口を合わせると、約1億人で、4つの州の経済は米国全体の3分の1を占めます。したがって、感染拡大が深刻化した場合、米国全体の経済回復にとって大きなリスクとなります。

現在の所、死亡率も高くなく、医療機関も逼迫していないことから、市場はあまり懸念していないようです。米政府が何も発言しなくても、州政府が閉鎖し措置をすぐに講じる可能性は低いようです。しかしながら、最近の調査では、閉鎖措置を講じていなくても、消費への影響が出ているようです。したがって、新規感染者数が急増するにつれて、国民の懸念が強まった場合、状況は一段と悪化するでしょう。

本日は、楽観的観測の後退に直接つながる要因はなく、楽観的ムードは継続するでしょう。特にフロリダ州では、月曜日と火曜日の新規感染者数が他の曜日よりも大幅に低く、週末の影響が出ているようです。

新規感染者数の改善見通しにより、本日はリスクオンの流れが加速するでしょう。しかしながら、週後半には流れが変わる可能性があります。新規感染者数増加に加え、米週次新規失業保険申請数が米国内の雇用状況を明らかにするでしょう。

一部閉鎖措置による豪ドルへの影響は限定的、しかしながら豪中銀の見解に影響する可能性

明日には、オーストラリア準備銀行の政策会合が予定されています。現行政策の据え置きが予測されていますが、ハト派寄りの見解が示される可能性があります。最近発表された経済指標は強弱混合の結果となっていますが、感染者数増加により、メルボルン市内での一部閉鎖措置に注目が集まっています。

オーストラリアの第二の都市であるメルボルンでの感染者急増は、政策発表時の声明文に影響する可能性があります。オーストラリア準備銀行が、必要に応じて、追加刺激策の用意があること示した場合、豪ドル上昇の勢いが失速するでしょう。しかしながら、米ドル相場を動かす主要因は、世界のリスクの流れ、及び米中関係になるでしょう。

本日に発表される米6月ISM非製造業PMIには、市場の注目が集まるでしょう。