デイリーマーケットコメントー米感染者数増加で、米雇用統計結果への反応は限定的

投稿日: 2020年7月3日19時55分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米非農業部門雇用者数は480万人増、しかしながら感染者数増加で市場は慎重姿勢
  • 株価上昇の勢い失速、米ドルは下落
  • 感染拡大への慎重姿勢により、米国とEUでの追加刺激策決定に再度注目

米雇用統計は予想を上回る結果となったものの、市場は慎重姿勢

昨日に発表された米6月非農業部門雇用者数は、市場予想の300万人増を大幅に上回る480万人増でした。米6月失業率も、4月の14.7%から11.1%に大幅に改善しました。しかしながら、現在でも1500万人が失業中のため、失業率は通常よりも高い水準です。

アジア、欧州、及び米国から発表されたサービス業PMIも好調な結果となりました。中国6月サービス業PMIは、10年ぶり高水準となり、経済回復の加速が浮き彫りとなりました。

しかしながら、新規感染者数が急増している米国では、V字回復が疑問視されつつあります。昨日、米国の一日での新規感染者数は5万人を超え、新規感染者数に減少の兆しは見られません。

米国内の多数の州では、経済再開計画が停止されました。特に感染が拡大した州では、入院者数が増加し続け、一部閉鎖措置が適用されました。

先行き不透明感上昇で、米雇用統計への反応は限定的

米雇用統計の強い結果にもかかわらず、米株価上昇の勢いが継続しなかったことから、市場が遂に米国内での新型コロナウイルスの感染拡大への懸念を強め始めたようです。昨日の米株式市場は僅か0.5%上昇して引けたものの、ナスダック指数は最高値を更新しました。

欧州セッション開始時の米主要株価先物指数は、0.1%から0.2%上昇していました。本日は、祝日により米市場が休場のため、薄商いの中、上値の重い展開となりそうです。

中国政府による財政刺激策、及び金融緩和政策により、CSI300は5年ぶり高値まで上昇しました。

米ドル停滞、殆どの通貨がレンジ相場

外国為替市場では、殆どの通貨ペアがレンジ幅内での取引となり、米雇用統計後の方向性が定まっていないようです。本日の米ドルは、対主要通貨で若干下落しました。

市場が今後の見通しに懸念を示し始めた一方で、市場全体のムードは、若干弱まったものの、依然としてリスクオンの流れが継続しています。

本日の豪5月小売売上高の強い結果により、今週上昇基調となっていた豪ドルは、一段と上昇しました。ユーロは、ユーロ圏6月サービス業PMIの上方修正にもかかわらず、殆ど反応しませんでした。EU離脱交渉が早期に終了し、昨日のポンド/ドルは再度1.25ドル割れとなりました。

翌週のEU離脱交渉の再開が明らかとなり、双方が合意に向けてより前向きな姿勢を見せていることから、本日のポンドは回復しました。

追加の財政刺激策に注目

7月に入り、市場は財政刺激策に再度注目しています。EU内では救済基金合意に向けての意見がまとまっておらず、米国では失業保険の受給期間の期限を月末に控え、期限延長がまだ決定されていません。

EUと米国で、追加の財政刺激策の実施が決定されていないことも、市場の方向性が定まっていない一因でしょう。新規感染者数が増加する一方で、米経済指標の強い結果が発表される中、追加の財政刺激策が決定されるまでは、市場は様子見ムードとなるでしょう。