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感染拡大懸念で、ゴールドは1800ドルに接近中
市場で経済のV字回復の見解が根強く継続しているにもかかわらず、昨日のゴールドは1785ドルを超え、7年半ぶりの最高値を更新しました。新型コロナウィルスの感染拡大からの迅速な回復が疑問視される中、ゴールドは心理的節目となる1800ドル台に急速に接近しています。
米国では、一日の新規感染者数が警戒レベルに達し、ソーシャルディスタンス対策を厳しくする州が増えています。昨日、米政府の新型コロナウィルス対策を担当する国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、早すぎる閉鎖措置解除により、米国内の一日の新規感染者数が10万人に達しても驚かないと発言しました。
新規感染者数の増加により、各国の中央銀行でも、新型コロナウィルスによる経済的ダメージの長期化への懸念が大きくなりつつあります。昨日、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、「経済の完全な回復には、何年もかかる」と発言しました。
ゴールドの上昇要因は、新型コロナウイルスへの懸念だけではありませんでした。米国が香港への優遇措置を撤廃することにより、中国側も報復措置に講じる姿勢を見せています。香港国家安全法の成立により、中国は欧米諸国からの反発に直面しています。米国は対中制裁措置を追加し、米企業にハーウェイやZTE等の中国企業と取引禁止を決定しました。
株式市場はリスクを材料視せず
米中関係悪化に伴い、市場は米中通商協議の第一段階合意の施行開始に懐疑的になっています。昨日の米株式市場は、上昇して第2四半期を終了しました。特にS&P500は、1998年以来最も上昇幅を拡大させた四半期となりました。
新型コロナウイルスの感染者数増加による経済回復の遅延は、株式市場にとってはまだ主要なリスク要因となっていないようです。株式市場では、経済指標の好調な結果が材料視され、リスクオンの流れが継続しています。米6月消費者信頼感指数は、市場予想を上回る結果となりました。アジアと欧州の製造業PMIは、50付近、或いは50越えをそれぞれ達成しました。
本日に発表される米6月ISM製造業景況指数、及び米6月ADP全国雇用者数、そして明日に発表される米6月非農業部門雇用者数には市場の注目が集まるでしょう。
特に労働市場に関する経済指標結果は、先月に堅調推移した株式市場と外国為替市場の方向性に影響するでしょう。現在の市場の動きは、リスクラリーの小休止なのか、新型コロナウイルスによる影響の反映し始めているのかを市場は見極めようとするでしょう。
米ドル下落、「現在の所、好調な景気回復」でポンド上昇
米主要株価先物指数の直近の動きは、若干の下落となり、慎重姿勢を見せています。通貨市場でも、円とスイスフランが全面高となっています。
予想外にも、米ドルが下落しました。米ドルは、円だけでなく、豪ドルやNZドル等のリスク通貨に対しても値下がりしました。米ドル安は、ゴールド高の追い風となりました。米国債利回りが上昇している為、米ドルの下落やゴールドの上昇には違和感があります。
昨日、イングランド銀行のチーフエコノミスト、ハールディーン氏は、「まだ早い段階であるものの、英経済が予想以上の回復を見せている」と発言し、タカ派的見解を維持しました。これにより、ポンドは上昇し、本日も対米ドルで1.24ドル台を超えて堅調推移しています。