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経済回復への楽観的観測で、リスクオンの流れが改善
過去24時間に米国と中国で発表された経済指標が好調な結果となり、経済回復の兆しが継続していることが浮き彫りとなりました。これにより、V字回復への期待も上昇しました。米5月中古住宅販売保留指数は、過去最高の前月比44.3%まで上昇しました。中国6月製造業PMIも予想を上回る結果となりました。
他国の経済指標結果は、米国や中国ほど強い結果にはなりませんでした。日5月鉱工業生産は、一段と悪化しました。しかしながら、市場は引き続きネガティブなニュースよりも、ポジティブなニュースを材料視する傾向があります。
市場が注視する必要がある要因は、世界の一部の国での新型コロナウイルスの感染者数増加でしょう。米国の感染者数は、225万人をこえ、死亡者数は130万人近くに上っています。米国内の複数の州では、経済再開計画を一部停止しました。直近では、アリゾナ州でもバー、ジム、及びその他のビジネスの閉鎖が公表されました。
しかしながら、株高は継続し、昨日のダウ工業株は2%以上値上がりし、本日のアジア株式市場も上昇しました。
オーストラリアや英国でも、第2波への懸念により、一部の都市や地域で閉鎖措置が講じられ、スムーズな経済再開にはならない兆しが一段と示されました。
パウエル議長の慎重姿勢、及び香港国家安全法はリスクオンの重しに
今後数週間で、経済再開が順調に進まない現実が一段と浮き彫りになるでしょう。それまでの間、外国為替市場と株式市場は今月のレンジ幅内での取引を継続するでしょう。
リスクオンによる上昇に歯止めをかけているのは、不安的な経済回復見通しだけではありません。米中摩擦のリスクも再浮上しています。特に、米国が香港における優遇措置の撤回を開始後、米中関係が一段と悪化するでしょう。本日、中国政府が香港国家安全法を制定したことにより、「一国二制度」への疑問が浮上しています。
パウエルFRB議長が「極めて不透明な」見通しと発言したことも、投資家心理に影響している模様です。FRBが公表した本日の下院金融委員会での証言テキストでは、パウエル議長は「経済活動や雇用は感染拡大前の水準を大きく下回っている」見解を示しており、米議会に追加の金融支援を要請するでしょう。
パウエル議長の議会証言を控え、ゴールドは横ばい推移となりました。昨日の四半期末のリバランスの動きにより、米ドルは若干回復しました。金曜日の米雇用統計発表を控え、円も上昇し、市場の慎重姿勢が浮き彫りとなりました。金曜日までには、本日の米消費者信頼感指数を含む多数の経済指標が発表され、市場の注目を集めるでしょう。
ポンドは下落
本日のユーロと豪ドルは、下落基調となりました。ポンド/ドルは昨日に1か月ぶり安値1.2249ドルまで下落後、本日には若干回復しました。
昨日、ジョンソン首相は、EU側と貿易協定に合意できない場合、「オーストラリア条件」で合意する見解を明らかにしました。EU離脱問題に加え、財政赤字が増大する中、英政府が新型コロナウイルスへの経済対策を実施できるかへの懸念も大きくなっています。