デイリーマーケットコメントー株価上昇、米ドルも上昇

投稿日: 2020年6月26日18時34分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 市場は悪いニュースよりも、ボルカールール変更を材料視し、株価上昇
  • FX市場は慎重ムード継続、米国の感染者数が過去最多となり、米ドル高継続
  • テキサス州とフロリダ州の経済再開計画停止、米疾病対策センターは実際は10倍の感染者数の可能性を公表
  • 今後数日間は、四半期末のリバランスの動きでリスクオフに傾く可能性

株式市場と米ドルは異なる要因を材料視

刺激策による楽観的観測と新型コロナウイルスへの懸念の対立は、今週に終了する模様です。感染者数の急激な増加への懸念により、流動性増加による経済的ダメージの緩和への期待は後退しました。昨日、FRBが金融機関の投資に制限を設けたボルカールールの変更を承認した為、米株式市場は前半の下げ幅を回復させ、1%以上上昇して引けました。

しかしながら、通貨市場は慎重ムードが継続しました。数々のネガティブなニュースが楽観的観測を後退させ、安全資産の米ドルは上昇幅の殆どを維持しました。通常、株式市場と米ドルが相反する動きとなる為、現在の動きは非常に稀な現象です。

昨日、米国では、二日連続で一日の感染者数が過去最多を記録しました。これにより、人口密度の高い州では、感染拡大を防止する為、閉鎖措置が再度講じられるリスクが上昇しています。既に、テキサス州とフロリダ州では、経済再開計画が既に一時停止され、感染拡大悪化時の一段と厳しい措置の前段階となっている可能性があります。

米疾病対策センターの所長は、多数の人が無症状のため、新型コロナウイルスの実際の感染者数は、報告された数の10倍に上る可能性を明らかにしました。また、第1波が終息していないことにも注意を促しました。

年金基金のリバランスの動きでリスクオフが加速の可能性

新型コロナウイルスの感染拡大のニュースにより、今週は方向性が定まらない市場となりました。多数のネガティブなニュースにもかかわらず、殆どのチャートはレンジ幅内で推移しました。おそらく、市場は上昇に前向きにもかかわらず、押し戻れされているようです。市場は、多数のネガティブなニュースよりも、数少ないポジティブなニュースを材料視しようとして、方向性が定まっていないようです。

今後数日間は、株式と債券のポートフォリオの維持が必要な年金基金の第2四半期終了時のリバランスが、リスクオフの流れを加速させるでしょう。第2四半期には、債券市場に対して、株式市場が大きく上昇したことを考慮すると、ファンドマネージャーが債権を買い戻す必要があり、月末に向けて、株式が売却されるでしょう。外国為替市場にも影響を及ぼし、安全資産の通貨が上昇し、コモディティ通貨が下落するでしょう。

市場の大局的な流れは、今後の感染拡大状況次第となるでしょう。例えば、感染状況が改善した場合、年金基金による株式売却の影響は緩和されるでしょう。一方、感染状況が悪化した場合、年金基金のリバランスがリスクオフの流れを加速させるでしょう。

米経済指標よりも、米国の感染者数に注目

本日には、米国から多数の経済指標が発表されます。しかしながら、殆どの指標が現在の状況を反映しない為、市場の動きには影響しないでしょう。個人消費では、小売売上高の大幅な回復を裏付けるかが注目されるでしょう。

本日に最も市場が注目するのは、カリフォルニア州、テキサス州、及びフロリダ州の感染者数になるでしょう。