デイリーマーケットコメントー米政府の発言で市場は荒い値動き、ユーロ圏PMIでユーロ高

投稿日: 2020年6月23日18時42分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米政府からの異なる発言内容で、通貨市場と株式市場は荒い値動き
  • 楽観的観測は戻り、市場は全体的にポジティブなムード
  • 米国内の新たな感染者数減少で、ナスダック指数の終値は最高値更新
  • 仏PMIの50越えで、ユーロ上昇

ナバロ米大統領補佐官はタカ派的発言後、釈明

昨日、トランプ政権で最も対中強硬派と見なされるナバロ米大統領補佐官が、インタビューで「米中貿易合意は終わった」と語ったことに市場は大きく反応しました。リスクトレードの流れは終了し、豪ドル等のコモディティ通貨や株式市場は前半の上昇幅の殆どを失いました。一方で、米ドルや円等の安全資産は上昇しました。

その後、ナバロ米大統領補佐官は、発言内容について釈明し、第一段階合意なお有効であると述べました。これにより、市場は落ち着きを取り戻しました。トランプ大統領も、ツイッター上で「貿易合意は有効である」と述べたことにより、豪ドルとS&P500は回復しました。

実際に、ナバロ米大統領補佐官の見解を考慮すると、今回のタカ派的発言内容はサプライズではありません。しかしながら、市場にとって重要なことは、実際に合意が終了したかどうかを判断するのは、トランプ大統領であり、選挙公約により、トランプ大統領は貿易合意継続を示していることです。第一段階の合意では、中国は米農産品の購入を約束しています。トランプ大統領の狙いは、11月の大統領選挙で熾烈な競争が予測される州の農家からの支持獲得です。

最近の世論調査では、トランプ大統領の支持率は、バイデン氏よりも約10%下回っています。トランプ大統領にとって、支持拡大は必須である為、大統領選挙前に中国と貿易合意で対立する可能性は低いでしょう。

米国内の新たな感染者数減少で、市場の懸念緩和

ナバロ米大統領補佐官の発言前の市場は、楽観的観測が市場に戻り、比較的ポジティブなムードでした。昨日のナスダック指数の終値は、最高値を更新しました。最も人口密度の高い米国の州での感染者数は、過去数日と比較して、改善した為、安全資産の米ドルは下落しました。

大規模な感染拡大の懸念は、若干緩和されたものの、週末の影響により、月曜日の感染者数は他の曜日よりも少ない傾向があることを留意する必要があるでしょう。したがって、本日の感染者数が大幅に増加し、市場のリスクオフムードが強まる可能性があります。

PMI指数が50超えとなり、ユーロ上昇

ユーロ圏6月PMIは、好調な結果となりました。特に仏6月PMIの結果が予想外に急騰し、50を上回りました。これにより、ユーロが上昇し、市場の全体のムードも改善しました。

通常は、経済回復と解釈されますが、現在の状況では、経済回復とは見なされないでしょう。PMIのような指標は、閉鎖措置後の経済を測る指標として最適ではありません。

PMI指数の確認事項は、前月に対しての今月のビジネス状況になり、前月のビジネスがほぼゼロだった場合、必然的に今月のビジネスは増加となります。更にビジネスが新型コロナウイルス危機以前の水準にまで戻ったと解釈することもできません。経済回復に向かっていることを判断することはできますが、経済回復の完全な兆しとして見なすことはできません。

本日は、米国の感染者数に加えて、米国と英国からのマークイットPMI指数に市場の注目が集まるでしょう。明日には、ニュージーランド準備銀行の政策会合が予定されています。