デイリーマーケットコメントー感染者数増加で市場は慎重姿勢

投稿日: 2020年6月22日18時39分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 2波への懸念上昇で、市場は停滞
  • WHOが一日最多の感染者数公表、アップルは米国内の一部の店舗を閉鎖
  • ゴールド上昇、外国為替市場と株式市場の下落は限定的
  • 今後の市場ムードは、財政刺激策 vs 第2波

市場ムードの変動継続

過去数か月の外国為替市場と株式市場の上昇に調整の動きがあり、米ドルが安全資産としての地位を再度取り戻しました。特に通貨市場では、リスクオフの流れが強まりました。過去数週間の市場のムードは、慎重、パニック、懐疑的、貪欲、高揚感へと移り変わり、再度慎重ムードに戻りました。

世界の感染者数は増加し続け、昨日、WHOは一日で最多の感染者数を記録したことを明らかにしました。米国で最も人口密度の高いカリフォルニア州や、アリゾナ州では、感染者数が急増しました。フロリダ州の感染者数増加も警戒レベルに達しています。

しかしながら、市場が材料視したのは、先週金曜日に、アップルが感染が再度拡大した州内での一部の店舗の閉鎖を発表したことです。アップルの発表を受けて、市場は他の企業による同様の店舗閉鎖や急速な経済回復期待の後退を懸念し、米株式市場は下落しました。一方で、米ドルと円は上昇しました。

本日の市場はリスクオフの流れが若干緩和、今後継続するかに注目

本日の市場は、リスクオフの流れが若干弱まったようです。米ドルと円は、上昇幅の一部を失い、コモディティ通貨は回復しました。EミニS&P500先物指数は、最大0.5%上昇してのスタートを示しています。市場のムード回復に繋がるポジティブなニュースはなかった為、市場のムードは、今後のニュース次第になるでしょう。

ゴールドは市場のムード改善の流れに逆らって、1か月ぶり高値まで上昇し、その後には4月以来のレンジ幅の上値付近で押し戻されました。米ドルの下落がゴールド上昇の一因となった可能性があります。しかしながら、状況が一段と悪化した場合、ゴールド高に繋がるイールドカーブコントロールへの着手を余儀なくされることが、ゴールド上昇の主要因のようです。

更に、地政学リスク上昇もゴールド高の追い風となったようです。インド政府は、中国との国境付近にインド軍の配備し、生命が脅かさせる場合は、武器を使用することも明らかにしました。先週、国境付近ではインド群と中国軍が衝突し、数十名死亡しましたが、銃撃戦には発展しませんでした。

中国とインドの衝突は、市場が織り込んでいないリスクになります。核保有国同士の衝突は、現在の世界経済が最も回避させたい事態でしょう。

財政刺激策vs 2波

今後数日間、市場を動かす要因は、財政刺激策による楽観的観測、及び感染者数拡大になるでしょう。どちらの要因がより大きく影響するかは、米国内の感染拡大スピード次第になります。

米政府は閉鎖措置を再度講じない方針を維持していますが、最終決定は、病床数不足に直面する各州知事に委ねられています。更に、アップルの決定からも、各企業が状況が悪化する前に、予防策として店舗を閉鎖する可能性も考えられます。

本日には、主要な経済指標の発表は予定されていません。市場は、明日に複数の国で発表される6月PMI指数に注目するでしょう。