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第2波への懸念、しかしながら市場はリスクオン
昨日の米株式市場には大きな動きがありました。FRBが公表した追加の緊急融資プログラムは、市場での第2波への懸念を後退させました。これにより、米株式市場は前半の下げ幅を回復し、上昇して引けました。
FRBは、中小企業向けのメインストリート融資制度を発表しました。本日より申請受付が開始する本制度は、個別企業の社債の買い入れが可能にすることが市場で好感され、リスクオンの流れに繋がりました。
FRBによる前例のない対応策は、新型コロナウイルス危機から米経済を積極的に支援するFRBの姿勢が見られます。先週後半に市場を直撃したリスクオフの流れは、新型コロナウイルス危機終息への道のりは程遠いことを示しています。現在懸念されることは、市場がネガティブなニュースに慣れてしまっていることです。米国の複数の州での感染者数増加や北京市内でのクラスター発生にもかかわらず、市場はリスクオンに傾きました。
トランプ政権により大規模なインフラ計画
ブルームバーグがトランプ政権による1兆ドル規模のインフラ計画を報じたことも、株高の追い風となりました。本日のアジア市場では、日経平均株価が約5%値上がりしました。ユーロ圏株式市場も、2%以上上昇してスタートしました。米株式市場では、上昇の勢いに若干の失速感があります。S&P500のミニ先物指数が3000台を下回った後、3100台を試す展開にまで上昇したことから懸念材料にはならないでしょう。
原油価格の上昇勢いは失速し、本日のWTI原油先物とブレント原油先物は値下がりしました。ゴールドは、1725ドル付近での横ばい推移となっています。ファンダメンタルズ要因がより影響するコモディティ市場にとって、財政刺激策による株高の流れはあまり重要ではありません。したがって、原油価格が一段と上昇するには、需要回復を裏付けるより多くの証拠を市場は必要とするでしょう。本日後半に発表される米5月小売売上高には、回復の兆しを見極める為、市場の注目が集まるでしょう。閉鎖措置緩和により、米5月小売売上高は上昇が予測されていますが、予想外の低下となった場合、市場が反応するリスクがあります。
パウエル議長の議会証言控え、米ドル下落
GMT1400には、パウエル議長の議会証言が予定されています。先週のFOMC後の記者会見での発言後、二日間の工程の議会証言では目新しい内容は予想されていません。先週のパウエル議長の慎重なトーンが株安に繋がった為、今週は若干楽観的なトーンとなる可能性があります。
パウエル議長の議会証言を控え、米ドルは対主要通貨で下落しました。米ドルは特に対ポンドで下落し、対円とユーロでは横ばい推移となりました。
本日の日銀の政策会合では現行政策の維持が表明され、市場の反応は限定的でした。市場の関心は、明日のスイス国立銀行とイングランド銀行の政策会合に向けられるでしょう。
ジョンソン首相の協議への前向き姿勢で、ポンド上昇
合意なき離脱のリスクにより、過去1週間のポンドは上値の重い展開となっていました。イングランド銀行による追加の量的緩和政策実施の公算が大きくなっており、ポンドは一段と回復する見通しです。昨日の英国とEUの離脱交渉では、離脱後の通商協定合意は年内が期限となっている為、来月には集中的に協議する方針で双方が合意しました。
多くの課題が残る中、12月31日の英国の合意なき離脱の可能性が上昇しつつあります。しかしながら、現在の所、ジョンソン首相が今までになく協議に前向きな姿勢を見せている為、協議が進展する限り、ポンドは上昇する見通しです。