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リスクオフ終了の可能性?
第二波への懸念の強まりを受けて、株式市場での新型コロナウイルスによる下落幅をほぼ回復させた最近のリスクオンムードに後退の可能性が浮上しています。先週、米国内の複数の州で感染者数の大幅な増加が見られました。過去数日間、北京や東京でも感染者数が増加しています。
各国の異例の財政刺激策が経済のV字回復の繋がる期待が、リスク資産を押し上げていました。財政規律に厳しいドイツさえも含む多数の政府が必要に応じて、追加の財政刺激策の用意があることを示す一方で、閉鎖措置緩和を停止するリスクも浮上しつつあります。
中国政府は、感染が広がった北京市内の一部の地域を閉鎖しました。しかしながら、米国が閉鎖措置よりも、ソーシャルディスタンスのルールを長期的に継続する模様ですが、経済回復の遅れは回避できないでしょう。
リスクオフ後退により、本日の日経平均株価は3.5%値下がりし、ユーロ圏株式市場は約2.5%下落してのスタートとなりました。ダウ工業株の先物指数は3%の値下がりを示している為、米株式市場も下落してのスタートになるでしょう。
豪ドル下落、米ドルは方向性を失い停滞
本日、リスクオフムードの影響を最も受けた通貨は、豪ドルでした。市場が遂に力強い経済回復の可能性を疑問視し始め、豪ドルは約1%下落しました。リスク通貨と見なされる豪ドルの下落は、最近の上昇による調整の動きの可能性があり、2か月半継続したリスクオンの流れ終了と判断するには時期尚早でしょう。
先週木曜日より原油や銅等のコモディティ価格が下落し、NZドルやカナダドル等のコモディティ通貨も対米ドルで下落しました。安全資産の円とスイスフランは、対米ドルで上昇しました。
米国内の抗議デモ継続、及び第2波への懸念が、米ドルの上値を重くしています。特にEUの大規模な刺激策により上昇しているユーロに対して、米ドルは下落しています。今週後半には、EU首脳が大規模な刺激策について決定予定で、一部の加盟国の反対の可能性も残っている為、ユーロ高が継続するかはまだ不透明です。
米ドル高失速にもかかわらず、ゴールドは0.6%値下がりし、最近のレンジ幅内で推移しています。したがって、今回のリスクオフの流れは、一時的な現象にすぎない可能性があります。
EU離脱交渉控え、ポンドは一段安
本日のポンド/ドルは、合意なき離脱のリスクにより、一時1.25ドル台を割り込んだものの、その後、若干回復しました。先週金曜日、英国は移行期間の延長を申請しない方針を正式に表明しました。したがって、英国とEUの交渉期間は残り僅か6か月になります。ジョンソン首相は、遅くとも今秋までの合意に前向きな姿勢を示しています。GMT1230には、膠着状態打開に向けて、ジョンソン首相とEU交渉官とのビデオコンファレンスが予定されています。
協議が進展しない場合、ポンドは再度下落する可能性があります。新型コロナウイルス危機に加え、EUとの貿易協定なしにEUを離脱することは、英経済にとって大打撃となるでしょう。皮肉なことは、スムーズな離脱が最優先である時に、感染拡大が合意なき離脱のリスクを上昇させていることです。