デイリーマーケットコメントー第2波の懸念で市場はリスクオフムード

投稿日: 2020年6月12日19時43分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 2波への懸念で、市場は再度リスクオフの流れ
  • S&P500は約6%下落、米ドルと円は再度上昇、コモディティ通貨は下落
  • 本日はリスクオフの流れが若干後退し、市場は緩やかに回復
  • 今後の市場の流れは、新型コロナウイルス感染数次第

2波への懸念で、再度リスクオフムード

リスクオフの流れにより、昨日の米株式市場は3月以来の安値まで急落しました。ダウ工業株は6.9%、S&P500は5.9%、ハイテク企業の多いナスダック指数は5.3%値下がりしました。

米国内の新型コロナウイルス感染者数の再度上昇により、リスク回避の流れが強まったようです。米国全体の感染者数は懸念する水準には達していませんが、カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州では第2波発生が懸念されています。最も懸念されていることは、最近の感染拡大の要因の一つと見なされる大規模な抗議デモの影響がまだ反映されていないことです。

株価下落は外国為替市場にも影響し、米ドルや円等の安全資産が上昇しました。一方で、コモディティ通貨やリスクに反応するようになったポンドは下落しました。

実際に、ポンドだけでなく、最近は殆どの通貨がリスクムードに反応する傾向になっています。背景には、米ドルが安全資産として見なされていることや、通貨間の金利差の乖離が縮小し、リスクムードが通貨を動かす要因となっていることがあります。

その後にリスクムード安定―一時的な調整動き、或いはリスクオフが一段と強まる可能性?

本日には市場のムードの回復が若干見られ、米主要株価先物指数は若干上昇してのオープンを示しています。外国為替市場でも、昨日のリスク回避の流れが若干緩和されました。今回の市場の動きは、過去数週間の急騰後の調整の動きに過ぎないのか、或いは一段の下落余地があるのかが注目されます。

総じて、今後の市場の動きは、今後数日間の新型コロナウイルス感染者数次第になるでしょう。最近の市場は、長期的な低金利、世界的な財政規律の排除、世界的な新型コロナウイルス感染者数の減少の3つの要因により、楽観的観測が維持されてきました。もしこのような要因がなくなった場合、昨日のようにリスク回避の流れが強まり、一段と大きな動きとなる可能性があります。

したがって、市場は米国の感染者数に再度注目するようになるでしょう。米政府は第2波が発生しても、閉鎖措置を講じない方針を明らかにしていますが、決定は各州知事の判断になります。

米ドル回復で、ゴールド停滞

昨日のゴールドは、米ドルが大きく上昇したことにより、リスクオフの恩恵を受けませんでした。ゴールドは米ドル相場の影響を受ける傾向があります。米ドルが上昇すると、米ドル以外の通貨を使用する投資家にとって、ゴールドが割高になる為、ゴールドの需要は減少します。

通常、米ドルとゴールドは逆相関関係になり、過去一年はこの関係が弱まっていたようですが、昨日には米ドル高によりゴールドは上昇しませんでした。

新型コロナウイルス感染拡大が終息していないことが市場で認識され、原油価格は下落に転じました。原油価格上昇を受けて、原油供給が回復しつつあるときに、第2波の発生は原油需要の見通しを悪化させるでしょう。