デイリーマーケットコメントー市場の期待に反して、FRBはハト派寄り見解

投稿日: 2020年6月11日20時58分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • FRBは低金利継続、及び必要に応じての追加対策を表明
  • 米ドル下落、株価上昇、しかしながら、パウエル議長のイールドカーブコントロールへの消極的姿勢で米ドル上昇、株価下落
  • 米国内の新型コロナウイルス感染者数増加、市場は全体的にリスクオフムード
  • ユーロ圏財務相会合での復興基金案協議、及び米週次新規失業保険申請数発表に注目

Fedの見解は正しいものの、市場はより多くを期待

市場の予想通り、昨日、FRBは2022年までゼロ金利政策を維持し、現行のペースで国債購入を継続する方針を明らかにしました。パウエル議長も、低金利が長期的に維持される見通しを改めて強調しました。

FRBからのメッセージは非常に明確でした。FRBは十分な財政刺激策を実施しており、明確な経済回復が見られるまでは継続する方針です。状況が一段と悪化した場合、追加の刺激策の用意があることも示しました。FRBのハト派的姿勢に市場は反応し、米ドルは下落して、株式市場は回復しました。米雇用統計の予想を上回る結果を受けて、一部の投資家の間では、財政刺激策縮小の可能性も懸念されていました。

しかしながら、FRBの次の政策と市場で見なされていたイールドカーブコントロールにパウエル議長が消極的な姿勢を示したことにより、米ドルは回復し、米株式市場は下落して引けました。イールドカーブコントロールについては、パウエル議長は今後協議していくと述べ、積極的な姿勢は見られませんでした。

市場はリスクオフに傾き、ゴールド上昇

パウエル議長の発言により、リスク資産が低下しました。S&P500の終値は0.5%下落し、ミニ先物指数は1.5%下落してのオープンを示しています。一方で、安全資産の米ドルは上昇しました。

低金利が長期的に継続する見通しを受けて、最も上昇したのはゴールドで、過去数か月間のレンジ幅の上限を上抜けました。低金利が長期的に継続すると、金利が発生する国債よりも、金利の発生しないゴールドの需要が増加します。

最近の株式市場や米ドルが大きく動いたことから、株価の下落や米ドルの緩やかな回復は、市場の疲労を示している可能性があります。更に、米国の複数の州では、新型コロナウイルスの感染者数が再度増加していることも、懸念材料になっています。

テキサス州、カリフォルニア州、フロリダ州、及びアリゾナ州では、第2波の兆しへの警戒が強まっています。懸念されることは、最近の抗議デモが第二波発生に影響した可能性があることです。第二波発生の判断には、あと数日間はかかりますが、投資家心理に影響する為、注視する必要があるでしょう。

ユーロ相場は、ユーロ圏財務相会合に注目

本日の主要イベントは、ユーロ圏財務相会合になります。復興基金案では、リスク分散に反対しているオーストラリアやオランダ等の国がより協調的な姿勢を見せると、ユーロ上昇に繋がるでしょう。反対に、協調的姿勢が見られない場合、ユーロは下落するでしょう。

本日は、米週次新規失業保険申請数が発表されます。本指標でも米労働市場の改善兆しが見られるかを判断する為、市場は注目するでしょう。