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S&P500は年初からの下げ幅を全て回復、ナスダック指数は最高値更新
過去数週間、株式市場は大きく上昇する一方で、新型コロナウイルスのリスクによって最も影響を受けたのは外国為替市場でした。新型コロナウイルス危機は、一時的な要因との見方を市場は依然として維持しています。米5月雇用統計の予想を上回る結果は、市場の見解を後押ししただけでなく、回復が既に始まっていることも示しました。これにより、今後の見通しに懐疑的見解を維持していた投資家も、リスクオンに傾きました。
世界経済回復の兆し、各国政府による大規模な財政刺激策、及び財政規律排除への安堵により、S&P500は1.2%上昇し、今年初めからの下げ幅を全て回復しました。中小企業廃業がアマゾン等の大手企業のマーケットシェア拡大に繋がるとの見方により、アマゾンは1.65%値上がりし、ナスダック指数の終値は1.1%上昇して最高値を更新しました。
通常通り、株式市場の値動きが外国為替市場に影響しました。米ドルの上値が重くなる一方で、豪ドル、NZドル、カナダドルは数か月ぶり高値となり、新型コロナウイルス危機前の水準まで回復しました。本日前半には、米ドルが若干回復し、コモディティ通貨は若干下落しました。おそらく、ネガティブなニュースが見られなかったことにより、コモディティ通貨の大幅な上昇で利益確定売りの動きがあったようです。
楽観的観測は継続する可能性?
最近の株高の流れで最も関心を引くのは、主に個人投資家が株価を押し上げていたことです。米雇用統計の結果により、市場の流れが変わり、機関投資家も株式市場に戻ってきているようです。したがって、今後株価は一段と上昇する余地があります。
しかしながら、今後数日間は大きなリスク材料が複数控えています。まず最初のリスク材料は、明日のFOMC政策会合です。今回の政策会合では現行政策の据え置きが予測されていますが、イールドカーブコントロール等の異例の対策の兆しを見極める為に、市場は注目するでしょう。パウエル議長がイールドカーブコントロールの可能性を示唆した場合、現在の株高と米ドル安の流れは継続するでしょう。反対に示唆されなかった場合は、株高と米ドル安の流れは若干後退する可能性があります。
おそらくより重要なことは、あと数日で米抗議デモ発生より14日目となる為、抗議デモが第二波を引き起こしたかが明らかになることです。市場は第二波発生のリスクは高いと見なしています。大規模な抗議デモで第二波が発生しなかった場合、世界経済回復への楽観的観測が一段と強まるでしょう。
欧州では、ユーログループ会合での結果により、ユーロが上昇しました。ユーロは多数のポジティブなニュースを織り込み済みの為、早急な合意への明確な兆しがない限り、ユーロ高は継続しないでしょう。