デイリーマーケットコメントートランプ大統領の発言で、リスクオフムード

投稿日: 2020年5月27日20時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • トランプ大統領が週末に香港問題への対応表明を示唆し、米ドル上昇
  • 米中関係悪化は経済回復への期待後退に繋がらず、株価は強弱混合の動き
  • EU救済基金の実現に不透明感が上昇し、ユーロ下落

米政府が香港問題で反発:アジア株式市場のみ反応

昨日、米政権が中国政府による香港への国家安全法導入の動きに対応する旨をトランプ大統領が明確に示した為、本日のアジア株式市場は上値が重くなりました。昨日の記者会見において、トランプ大統領は国家安全法への対処については、週末までに明らかにすると回答し、対応策を検討していることが示唆されました。

米中関係悪化のリスクは、アジア株式市場を下落させました。中国、及び香港市場は大幅に下落しました。一方、日本政府による1.1兆ドル規模の追加の財政政策により、日経平均株価は約3か月ぶりの高値で引けました。

欧州株式市場も昨日の上昇幅を拡大してオープンしました。米主要株価先物指数は、本日にはS&P500が主要な心理的節目3000台を上抜けて引ける兆しを示しています。

株式市場に溢れるほどの流動性があり、中央銀行が追加の財政刺激策の用意がある中、市場は地政学リスク上昇に反応しにくくなっているようです。香港問題が米中関係に大きく影響する場合、市場で調整の動きが生じる可能性があり、十分な財政刺激策が急落の緩和剤として機能するでしょう。

米ドル、円、及びスイスフラン上昇;ゴールドは下落

一方、外国為替市場は、安全資産の通貨が上昇し、より慎重な動きとなりました。米ドルは対円では横ばい推移となり、対カナダドルでは下落したものの、米ドルインデックスは0.25%上昇しました。

経済再開の動きが経済回復への期待を上昇させ、カナダドルは対米ドルで主要なレジスタンス水準1.38ドルを抜けました。昨日にカナダ中央銀行が追加刺激策を示唆し、過去1週間の原油価格に上昇失速が見られたにもかかわらず、カナダドルが上昇しました。

本日は、リスクオンの流れが若干後退した為、豪ドルは若干下落したものの、底堅く推移しました。閉鎖措置解除やワクチン開発による経済回復への期待を市場が材料視している為、豪ドルも上昇しているようです。

感染拡大時期には、ゴールドは、株価よりも、ウイルスや地政学リスクをより正確に反映していたものの、今回、米国による中国への制裁リスクを材料視しませんでした。

EU救済基金の実現は不透明、ユーロ下落

フランスとドイツが提案した救済基金案が他の加盟国から支持を得られない可能性により、本日のユーロは下落に転じました。スウェーデンとオランダを含む4か国が救済基金案に反対姿勢を示し、独自の提案を提出しました。

本日後半には、EUが救済策についての見解を表明する予定です。しかしながら、概して、「小規模、且つ遅すぎる」救済策への長期的交渉となるようです。