デイリーマーケットコメントー動揺はないものの、米中関係悪化により慎重姿勢

投稿日: 2020年5月25日18時58分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 香港問題で米中関係が一段と悪化し、米国は対中制裁を示唆
  • 経済再開への楽観的観測により、リスクオフムードへの転換には慎重姿勢
  • 緩和政策、及び政治的リスクにより、ユーロとポンドが下落

米中関係が一段の悪化;新たな冷戦の可能性?

先週、米政府は中国政府が香港で国家安全法が導入した場合、制裁措置の用意があることを明らかにしました。更に、米上院では、中国企業の上場規制強化案が可決されました。これにより、米中関係は一段と悪化しました。

中国は数十年ぶりに最悪の景気後退に直面し、中国政府による新型コロナウイルスの感染拡大への対応の説明を世界が疑問視する中、全国人民代表大会で習近平国家主席の発言に注目が集まります。中国政府による国家安全法の導入案は、香港での抗議活動だけでなく、習近平国家主席への指導力が一段と疑問視されることになりました。

更に、11月の米大統領選挙を控え、トランプ大統領が新型コロナウイルスの感染拡大の責任として中国を非難している時期に、中国政府は国家安全法の導入案を明らかにしました。多くの時間と労力の結果、遂に合意した米中貿易の第一段階の合意実施が不透明となる中、昨日、米安全保障問題担当のオブライエン大統領補佐官は、実質的な対中制裁の用意があることを示唆しました。中国政府は、「新たな冷戦」になると警告しています。

現在の所、市場の反応は限定的

米国による対中制裁は、世界の金融センターとしての香港の地位を脅かすことになる為、実施については懐疑的見解もあり、市場の反応は限定的でした。香港株式市場も、先週金曜日の急落から、本日には若干回復しました。

中国株式市場も後半には買い戻されて、上昇して引けました。日経平均株価は、2か月半ぶり高値を更新して引けました。ユーロ圏株式市場も、上昇してのオープンとなりました。本日は、祝日により、米国と英国の市場が休場となっている為、市場は比較的静かな動きになっています。

しかしながら、安全資産のゴールドが上昇する中、株価上昇が継続していることは注目に値します。最近のユーロ圏と英国では、中央銀行が追加緩和政策の可能性を示唆しました。日本では、日銀が約1兆円規模の新たな財政策を公表しました。

過去数週間に渡って、多数の国では閉鎖措置が段階的に緩和され、市場ムードに安定した回復が見られています。

ユーロとポンドは下落

しかしながら、ユーロとポンドは最近の上昇幅を維持できず、欧州圏内の通貨は回復を継続できなかったようです。先週前半、フランスとドイツは、大規模な救済基金の設立を提案し、ユーロが上昇しました。数日前には1.10ドル台を試す展開となったユーロ/ドルは、1.09ドルまで押し戻されました。

ポンドは、イングランド銀行総裁がマイナス金利の余地を示した為。対米ドルで1.22ドルを割り込みました。

米ドルは、対主要通貨で下落しました。