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香港のニュースで、米中関係の一段の悪化の懸念
本日、中国政府が「国家安全法」を香港に導入する計画を明らかにしました。これにより、市場ではリスクオフの流れが強まりました。国家安全法は、香港の独立した自治の弱体化や、抗議行動の封じ込めに繋がります。
つまり、香港の「一国二制度」を弱体化させる流れで、中国は香港の民主的な動きの封じ込めを行うでしょう。今回の法案により、昨年の香港での抗議活動のような動きが再発する可能性があります。更に、米国は、香港の高度な自治による独自の貿易特権を利用できなくなります。
香港の金融上の特別な地位が失われると、中国本土への米ドルの流動が止められ、米ドルに依存した輸入業者が機能しなくなります。当然ながら、米中間の貿易、テクノロジー、及び資本関係は急速に悪化するでしょう。
市場は再度リスクオフの流れ
アジア株式市場は全面安となり、香港株式市場は5%値下がりしました。S%P500の先物指数は1%下落してのオープンを示しています。
外国為替市場では、米政府の反応を予測し、安全資産の円と米ドルが上昇しました。昨日、トランプ大統領は中国が法案を推し進めるなら、米国は強固な対応を取ると発言しました。したがって、中国が法案導入の計画を公表したことにより、米国による強硬な反応が予測されます。
地政学リスクと世界貿易の不透明感上昇で、コモディティ通貨とユーロは最近の上昇幅の一部を失い、下落に転じました。トランプ大統領は、大統領選の戦略において、中国を主軸にする模様で、新型コロナウイルスの感染拡大で中国を継続的に批判しています。今回の法案は、反中国ムードを一段と強める要因となるでしょう。
重要なことは、中国批判において、トランプ大統領は米議会の支持を得ていることです。昨日、米上院議員は、香港の独立性が侵害された場合、中国政府当局者や組織を制裁する超党派の法案提出を明らかにしました。ペロシ米下院議長は、中国政府の法案を強く批判しました。
多数のテクニカル指標上で、反落の動き
本日のニュースにより、多数のテクニカル指標上において、最近のレンジ相場のブレークアウトの試みが阻止された模様です。今週のS&P 500と豪ドルは、最高値を更新し、ブレークアウトが期待されていましたが、再度レンジ幅内の取引に戻りました。ユーロ/ドルは1.10ドル付近で押し戻されて、下落しました。カナダドルもユーロと同様に、下落に転じました。
多数のテクニカル指標上で示されているように、市場は新たな展開には進んでおらず、不透明感は依然として残っているようです。
今後数週間は、テクニカル指標の動きが注視されるでしょう。テクニカル指標上で、レンジ幅内の下落が継続した場合、市場は今回の回復の流れに躊躇していることになるでしょう。一方で、多数のテクニカル指標上で、ブレークアウトの兆しが同時に見られた場合は、相場が新たな展開に入ったことになるでしょう。
当面の間は、米国がどれくらい強硬な姿勢を示すか次第になるでしょう。市場にとって最悪のシナリオは、香港の独別な地位が失われる兆候になるでしょう。