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ナスダック指数は最高値付近まで上昇、しかしながら先物指数は下落
ナスダック指数を見る限りでは、景気後退に直面しているとは思えないでしょう。昨日、通販サービス導入を公表したフェイスブックの株価が6%値上がりし、最高値を更新したことを受けて、ナスダック指数は最高値を3%程下回った水準で引けました。消費者の在宅による恩恵を受け、健全なバランスシートを維持している大手ハイテク企業により、新型コロナウイルスのリスクにもかかわらず、ナスダック指数は大きく上昇しています。
S&P 500は1.7%上昇し、過去1か月のレンジ幅を上抜けて引けました。本日、S&P 500の先物指数は最大0.7%下落してのオープンを示している為、昨日の終値は一時的な回復に過ぎないとの疑問が生じています。
昨日、米政府が中国を批判する書面を公開したことを受けて、市場はリスクオフムードになりました。米政府は、中国の侵略的経済活動、虚偽の情報提供、及び人権侵害を批判し、米中関係の急速な悪化を浮き彫りにしました。更に、トランプ大統領は、ツイッター上で、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止せず、米国に対する宣伝的攻撃を指揮したとして、中国のトップを非難しました。
米上院では、外国政府の管理下にある企業の米国上昇廃止案を全会一致で可決しました。
これにより、貿易、テクノロジー、及び資本において、米国が中国に対して明らかな対立姿勢を示したことになります。米国内で党派を超えて結束する唯一の方法は、反中ムードであり、大統領選挙を控えて、一段と強まる見通しです。
株価の上昇勢いの失速、及び米中関係の悪化により、本日、安全資産の米ドルが上昇しました。EU基金創設によるユーロ上昇の影響を受けて、過去三日間の米ドルは下落していました。
しかしながら、株価下落と米ドル上昇は緩やかでした。したがって、米中関係悪化は選挙前の戦略であり、異例の財政政策が危機の緩和剤となっていると市場が見なしている可能性があります。
本日の市場の慎重ムードにかかわらず、円もゴールドも上昇しませんでした。一方で、原油価格は最近の上昇幅を拡大させました。これらのことから判断すると、本日の市場ムードは、緩やかなリスクオフの流れに過ぎないでしょう。
英中銀のバーリー総裁がマイナス金利の余地を示し、ポンド下落
昨日のポンドは、昨日の米ドル安やリスクオンムードの恩恵を受けることができませんでした。反対に、イングランド銀行のバーリー総裁がマイナス金利の検討を明らかにした為、ポンドは下落しました。バーリー総裁は、一週間前には、マイナス金利について、「現在は予定や検討をしていない」と発言していたことから、大きく見解を変更しました。
しかしながら、バーリー総裁の発言はトリックの可能性もあります。イングランド銀行は、マイナス金利の余地を残すことにより、実際の利下げを実施せずに、市場を緩和させ、利下げと同様の効果があるマイナス金利を市場に織り込ませることができます。その一方で、市場がマイナス金利の織り込みを継続すると、市場が上向かないリスクがあり、ポンドも上昇しないでしょう。
本日には、多数のFRBメンバーの発言が予定されています。GMT1830にはパウエル議長、GMT1700にはクラリダ副議長、GMT1400にはニューヨーク連銀のウィリアムス総裁、GMT1830にはブレイナード理事が発言予定です。