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ワクチンへの期待後退により市場は下落し、次の動き待ち
昨日の市場は、ワクチン開発への期待により上昇しました。しかしながら、米モデルナ社の初期段階での小規模治験データは、ワクチンの有効性を示すには不十分との見解を専門家が示した為、本日の市場は下落しました。米株式市場は下落しましたが、下げ幅は緩やかでした。本日の米主要株価先物指数は上昇してのオープンを示しており、3月以来の上昇幅は、ワクチンへの期待ではなく、異例の財政刺激策が要因であることが浮き彫りになっています。
過去数か月間、中央銀行は利下げや資産購入を積極的に実施しました。特に最大級の資産である国債の購入枠を拡大させ、利回りはマイナス水準まで低下しました。国債利回りがマイナス水準まで低下すると、長期的なリターンを求めるファンドマネジャーは、リスク資産を購入せざるえなくなっています。コモディティ市場の規模が大きくない為、唯一の選択肢は株式になっています。
このような要因により、現在は、株式市場は経済状況を反映していませんが、今後も株式市場がファンダメンタルズ要因に影響されないという保証はありません。ネガティブなニュースで、ファンドマネージャーがリスク資産の持ち高を整理した場合に、株価が急落するリスクもあります。
当面の間は、テクニカル分析が有益になるでしょう。過去1か月半の間、S&P 500はレンジ幅内で推移しており、昨日にはレンジ幅の上限で跳ね返される動きとなりました。外国為替市場でも、ドル/カナダドル、及び豪ドル/ドルがレジスタンス水準で押し戻されました。市場は、リスクオン継続、或いはリスクオフへの転換を決める市場の次の動きを慎重に待っているようです。
日銀の臨時会合実施予定で、円下落
外国為替市場は、全体的にポジティブな流れとなりました。円、米ドル、及びスイスフラン等の安全資産は下落し、コモディティ通貨やユーロは上昇しました。
今週金曜日に、日銀が臨時会合の開催を決定した為、円が特に下落しました。臨時会合では、追加の刺激策の決定予定はなく、中小企業向け支援制度の詳細が決定される見通しですが、利益確定売りにより、ユーロ/円は5週ぶり高値まで上昇しました。
昨日のパウエル議長の議会証言では、目新しい材料は見られず、米ドルは対ユーロで下落しました。GMT1800に発表されるFOMC政策会合の議事録でも、目新しい材料はないでしょう。FOMCメンバーは、マイナス金利よりも量的緩和実施に前向きで、必要に応じて追加政策を実施する姿勢を明らかにしています。
下落基調のポンド相場は、英中銀メンバーの議会証言待ち
本日はポンドの動きに注目が集まる可能性があります。多数のリスク要因により、最近のポンドは下落基調を継続しています。英経済の緩やかな再開、財政赤字の拡大、及び合意なき離脱の可能性に加え、イングランド銀行がマイナス金利の実施を検討しています。
最近、チーフエコノミストのホールデン氏を含むイングランド銀行の複数のメンバーがマイナス金利を選択肢として検討していることも明らかにしました。GMT1230に予定されているベイリー総裁、ブロードベント副総裁、及びカンリフ副総裁の議会証言には、市場の注目が集まるでしょう。最近まで、ベイリー総裁はマイナス金利の可能性を否定していた為、本日も同様の見解を示した場合には、ポンドにとって一時的な救済要因となるでしょう。