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トランプ大統領は、中国批判を継続
トランプ大統領は、新型コロナウイルス感染を阻止できなかったとして、中国への批判を一段と強めました。昨日、フォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで、トランプ大統領は、今年に署名した第一段階の通商合意については、「今は素晴らしい合意とは思えない」と発言し、更に「習近平国家主席とは話したくない」とも述べました。
トランプ政権は、米株式市場に上場している中国企業に米国会計基準の採用の義務付け等の中国への対抗措置を検討しています。トランプ大統領は、「中国と関係を断つこともできる」と発言し、2020年の米大統領選挙で中国との問題が争点となることを浮き彫りにしました。
トランプ大統領による中国への強い批判は市場にも影響しましたが、2018年から2019年にかけての貿易摩擦時に見られたような大きな動きには繋がりませんでした。新型コロナウイルスに経済が大打撃を受ける中、トランプ大統領が中国の関係を断つことはないと市場は見なしているようです。
昨日に発表された米週次新規失業保険申請数は298万件となり、先週よりも減少したものの、市場予想の250万件を上回りました。これにより、米国全体の失業率が依然として高い水準であることが浮き彫りになりました。昨日の結果により、新型コロナウイルスによる新規失業保険申請件数は、3600万件を超えました。
株式市場はウイルスによる経済見通し悪化をではなく、経済回復を材料視
米中関係悪化により、安全資産のゴールドは4月に記録した7年ぶり高値付近まで上昇しました。パウエル議長による米経済悪化見通しも、今週のゴールド高の要因となっています。ゴールド上昇のもう一つの要因は、追加の緩和政策、及び財政刺激策の可能性があります。
追加刺激策の観測により、株価も上昇しました。株式市場の流動性増加により、株式市場とゴールドの相反する典型的な関係は見られませんでした。
米経済が一段と悪化した場合、FRBに追加の対応策の用意がある一方で、米議会による追加の財政刺激策の可能性は低くなるでしょう。
米議会では、民主党が提出した3兆ドル規模のコロナ支援案は、共和党に拒否されました。しかしながら、トランプ大統領が追加の財政刺激策に前向きな姿勢を示している為、共和党が賛同するのは時間の問題と市場は見なしているようです。
米国では、閉鎖措置の早期緩和による、感染第2波が懸念されているものの、市場は今年後半には経済が回復するとの楽観的見方が市場では広がっています。昨日の米株式市場は、前半の下げ幅から大きく回復し、1%以上上昇して引けました。
本日のアジア株式市場もほぼ全面高となり、ユーロ圏株式市場も上昇してのオープンとなりました。
米ドルは若干下落、しかしながら今週は上昇して終了模様
外国為替市場は、より慎重な動きとなりました。今週に軟調推移となった豪ドル、NZドル、及びポンドは、やや安定しました。中国4月鉱工業生産が予想を上回る結果となり、豪ドルは若干上昇しました。原油価格の上昇により、カナダドルも対米ドルで1.40カナダドルに向けて回復しました。
供給過多改善の兆しで、今週の原油価格は上昇しました。本日に発表される米小売売上高では、需要回復が期待できる可能性があります。
見通し悪化のリスクにより、本日は安全資産の円とスイスフランは上昇しました。昨日に3週ぶり高値を更新した米ドルは、対主要通貨で若干下落しました。今後数か月内のECBによる追加緩和観測により、ユーロは対スイスフランで5年ぶり安値まで下落しました。