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マイナス金利後退で、米国債利回り上昇
昨日に、米国債利回り上昇で値上がりした米ドルは、本日も高値を維持しました。先週、FF先物が続伸し、2021年初めにもマイナス金利導入の可能性を市場が織り込んだ為、米2年、米5年債利回りが過去最低水準まで低下しました。
しかしながら、昨日には、複数のFRBメンバーがマイナス金利の可能性を否定した為、利回りが回復しました。シカゴ連銀のエバンス総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁、及びセントルイス連銀のブラード総裁は、近々、FRBがマイナス金利を導入する予定がないことを明らかにしました。エバンス総裁は、マイナス金利が米国で使用する手段になるとは見込んでいないと発言しました。
FRBメンバーの対応は、マイナス金利を支持するトランプ大統領や米政権を落胆させました。特に、トランプ大統領は、為替レートにおいて、米国がユーロ圏等のマイナス金利に対して、不利な立場にあることを長く訴えています。
FRBによる無制限の量的緩和とゼロ金利政策、そして複数の国で閉鎖措置が解除されたにもかかわらず、米ドル高が継続していることから、トランプ大統領の指摘は一理あるかもしれません。
感染拡大第2波への懸念で、株価下落
国債利回り上昇による米ドル高の一方で、株式市場では、FRBによるマイナス金利の否定により、新型コロナウイルスによる経済的影響への対応策にも限界があることが認識され、株価は下落しました。
しかしながら、株安の主要因は、先週末から昨日にかけて、中国と韓国で新たな感染者数が増加したことでした。新型コロナウイルスの発生場所を考えられる武漢市では、4月3日以来、初めて新たな感染者が出ました。これにより、感染拡大の第2波は回避できないとの懸念が市場で広がりました。
最近、閉鎖措置が緩和されたドイツ等の国で、新型コロナウイルスの再生産数が増加したことも懸念されます。感染者数の上昇は、数週間に及ぶ閉鎖措置後に経済を再開させた方針を変更させる可能性があります。更に、閉鎖措置期間の終了間近への期待で上昇していた世界の株式市場での回復に歯止めもかかるでしょう。
昨日、ナスダック指数は、今年に入ってからの全ての下落幅を回復し、11週ぶり高値で引けました。しかしながら、本日の米主要株価先物指数は強弱混合の動きを見せています。アジア株式市場での下落により、欧州株式市場も上値の重いスタートとなりました。
本日のFRBメンバーの発言は、米ドル相場に影響する可能性
外国為替市場では、ユーロとポンドの下落により、米ドルインデックスは100越えを達成しました。円は昨日の下落幅の一部を回復し、豪ドルやNZドルのリスク通貨は、前半に下落後、安定して推移しています。サウジアラビアが日量100万バレルの減産を公表し、原油価格が上昇した為、カナダドルも上昇しました。
明日には、ニュージーランド準備銀行による政策発表が控えています。今回の政策会合では、資産買い入れ枠の拡大が予想されている為、NZドルが下落する可能性があります。
本日には、FRBメンバーの発言も予定されています。明日に控えるパウエルFRB議長の発言を予測する為、本日のクォールズFRB副議長、及びクリーブランド連銀のメスター総裁の発言に注目が集まるでしょう。