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米非農業部門雇用者数は史上最低水準となる見通し
財政刺激策により、株式市場は実質経済の悪化を十分に織り込んでいない為、楽観的な金融市場と実質経済の差は日増しに拡大しています。本日も、市場では無謀な動きが見られました。年内にもFRBがマイナス金利を導入する観測が市場で広がった為、史上最悪の結果が予想される米非農業部門雇用者数発表前に、米主要株価先物指数が上昇しました。
米4月非農業部門雇用者数は、2200万人減が予想されています。4月失業率は、第二次世界大戦以来最悪となる16%まで上昇する見通しで、前回の景気後退期の失業率を10%の上回ります。非常に懸念されることは、4月失業率は、4月の第2週目に実施されています。新規失業保険申請件数は、4月の2週目以降に急増していることから、実際の失業率は、もっと高い可能性があります。
最近の市場は、経済指標の脆弱な結果に殆ど反応していないことから、本日も、米雇用統計結果への反応は限定的となるでしょう。更に、新規失業保険申請件数や米ADP全国雇用者数の結果により、市場は既に米非農業部門雇用者数の最悪の結果を織り込んでいます。したがって、米非農業部門雇用者数がサプライズな結果とならない限り、大きな動きには繋がらないでしょう。
米ドルよりも、株価が動く可能性
市場で大きな動きがあるとすれば、おそらく株価の動きとなるでしょう。株式市場は、米非農業部門雇用者数のサプライズの結果による動きとは反対方向に動く模様です。例えば、米非農業部門雇用者数が予想よりも強い結果となった場合、経済への懸念が緩和され、マイナス金利観測も後退するでしょう。これにより、株価が下落する可能性があります。反対に、米非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回る結果となった場合、マイナス金利観測が上昇し、株価を押し上げるでしょう。
マイナス金利観測により、米2年債利回りが史上最低水準まで低下したにもかかわらず、米ドルの反応は限定的でした。したがって、本日も米ドルは、米雇用統計の結果に殆ど反応しない見通しです。総じて、米ドルは今後も底堅く推移する模様です。FRBは、米ドル安に繋がる政策を全て打ち出したものの、米ドルに代わる通貨ない為、米ドルは高値を維持しています。ユーロ圏内はEUの制度上の問題が状況悪化と回復遅延に繋がる見通しの為、ユーロの魅力的な通貨としては見なされていません。
ナスダック指数は昨年の終値を上回る水準まで回復
昨日のナスダック指数は1.4%値上がりして、年初以来の下げ幅を全て回復しました。外出制限により、大手ハイテク企業関連株がより安全と見なされ、本日のナスダック指数は上昇してオープンする模様です。
年内利下げは三分の一の可能性と市場で予測されていることに加え、昨夜、米中の交渉担当者による電話会談が貿易摩擦悪化の懸念を後退させ、市場のムードが改善されました。
外国為替市場では、安全通貨からリスク通貨へ資金が流れました。円は若干下落し、豪ドルやNZドル等のコモディティ通貨が上昇しました。
市場のポジティブな流れが継続するかは、米非農業部門雇用者数の結果次第となるでしょう。大局的な流れとしては、楽観的観測が十分に織り込まれている為、状況が悪化した場合、下落の余地が大きくなるでしょう。
本日は、米国に加えて、カナダからも雇用統計が発表されます。GMT11:00には、ECBのラガルド総裁の発言が予定されています。