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市場でのリスク織り込みにより、円と米ドル上昇
過去数週間の株式市場はワクチン開発への期待で上昇していたものの、脆弱な経済指標結果、米中関係の悪化、及び企業倒産増加のリスクを市場が認識し始めたようです。米国では、4月の民間の失業者数は2020万人となりました。ユーロ圏では、3月小売売上高が過去最低水準となり、4月は一段の悪化が予測されます。
当面の間の経済指標の悪化は予測されていたものの、米中対立の深まり、及び世界最大の資産運用会社ブラックロックのCEOが企業倒産増加や消費の冷え込みの見通しに言及したことにより、市場が反応した模様です。
新型コロナウイルス危機でも、堅調な業績を維持するハイテク企業株により、ナスダック指数が0.5%値上がりしたものの、S&P500は0.7%値下がりして引けました。
外国為替市場では、ユーロ安により、安全資産の円と米ドルが上昇しました。ユーロ圏内の共通の支援策が決定していないことへの懸念により、ユーロ安が継続しています。世界的に政策金利が低下する中、円の低金利が不利な要因にならないことも、円高に繋がっている可能性があります。
現在の所は、中国経済指標の強い結果で市場は落ち着いた動き
本日発表された中国4月輸出の予想を上回る結果により、経済回復の開始への期待が高まりました。米主要株価先物指数は上昇してのオープンを示し、米ドルと円は上昇幅の一部を失いました。コモディティ通貨も上昇しました。
しかしながら、多数のリスク要因が根強く残っているため、上昇に対して市場は疑問視しているようです。まず、失業者数が上昇し、企業倒産増加の可能性が懸念されています。多数の国が経済活動を再開しているものの、ソーシャルディスタンスのルールにより、多数のビジネスの稼働率を制限し、消費者も慎重姿勢を継続する可能性あることから、今まで通りに戻るには時間がかかるでしょう。
次に懸念されることは、ニューヨーク以外の州での感染者数に改善は見られていないものの、ビジネス再開が進められていることです。したがって、感染第2波、及び再度の閉鎖措置の可能性があります。
最後に、米中関係悪化による脱グローバル化、そして、米議会が新たな財政刺激策決定を停止する意向を示し、FRBが可能な限りの対策を打ち出していることから、状況が悪化した場合も、新たな救済策は期待できないことが不安材料になります。
異例の財政政策、及び流動性の増加により、株式市場は現在の経済状況を十分に反映していないようです。しかしながら、最近の楽観的観測は既に織り込みであることから、今後どれくらいの間、株高が維持されるかは不透明です。
英中銀政策会合後のポンド上昇
英国が追加の刺激策を見送ったことにより、ポンドは一段と上昇しました。しかしながら、閉鎖措置の出口が見えず、EU離脱交渉の問題が再浮上している為、ポンドのリスク要因も根強く残っています。
本日は、米週次新規失業保険申請に注目が集まるでしょう。