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独裁判所の判決で、ユーロ下落
昨日、独連邦憲法裁判所がECBの国債買い入れは一部違憲との判断を示したことにより、ユーロが急落しました。独連邦憲法裁判所は、3か月以内に、ECB側に買い入れ割合を修正するか、独連邦銀行による国債買い入れの中止を要請しました。
主要な問題は、独連邦憲法裁判所の判断が、ECBの独立性に影響を及ぼすことです。今回、ECB側が独連邦憲法裁判所の要請に従って方針を修正しても、今回の判決は、通常の量的緩和よりも規制が緩やかな緊急時の量的緩和にとって、大きな警告となるでしょう。したがって、緊急時の対策決定に法的制限が及ぶのは時間の問題で、今後危機が一段と大きくなった場合、ECBの量的緩和拡大に制限をかけることになるでしょう。
ユーロ圏内には他に財政機関がない為、ECBがユーロ圏内の脆弱な経済対策を維持している唯一の機関です。ECBが金融政策上の制限をかけられる場合、危機時に経済を支える手段がないことになります。つまり、ECBに市場を支える機能がない場合、金融的安定が失われ、分断リスクを大きくすることになるでしょう。
市場がユーロのリスクを織り込んだ為、ユーロ/円は3年ぶり安値を更新しました。大規模な財政刺激策を特に必要としているイタリア等の経済的支援の為に、負担を共有したユーロ圏内の対策の見通しは立っていない為、ユーロ相場は依然として不透明が強くなっています。現在のリスクオンの流れの中、今後数日間でユーロが回復しない場合、市場にリスクオフの流れが戻った際には、ユーロは特に対米ドルと円で急落するでしょう。
クラリダFRB副総裁の現実的な発言で、株価の上昇幅の一部を消失
昨日も、株式市場とその他の市場の動きに相反が見られました。S&P500の終値は0.9%上昇し、一方で外国為替市場では安全資産の米ドルと円が上昇し、ゴールドも上昇幅を拡大させました。株価上昇と安全資産の上昇は奇妙であることから、おそらく多数の投資家は株高の流れに懐疑的で、リスクヘッジとして安全資産を購入している可能性があります。
昨日、FRBのクラリダ副議長が今後発表される経済指標は一層脆弱な結果となり、経済回復は第3四半期以降になるとの見解を示した為、株価は上昇幅の一部を失いました。
更に、マコーネル上院議員が当面の間は、新たな刺激策を決定するべきではないと発言したことは注目に値するでしょう。大統領選挙を控え、共和党のタカ派議員が動き出したようです。
FRBが財政刺激策を限界まで打ち出し、米政府が財政赤字拡大を懸念しているなら、景気後退の新たな局面に直面した場合、株価の動きはどうなるでしょうか?
原油価格上昇でカナダドル回復、米ADP全国雇用者数に注目
原油価格上昇により、昨日のカナダドルは値上がりしました。原油保管スペースの危機は後退している模様ですが、WTI原油先物の6月物の期限を迎える5月中旬には、再度リスクが高まる可能性があります。
本日に発表される米4月ADP全国雇用者の結果からは、今週金曜日の米非農業部門雇用者数にどれくらいのダメージが見られるかをある程度は予測できるでしょう。