デイリーマーケットコメントー米株価上昇、外国為替市場は慎重ムード

投稿日: 2020年5月5日18時51分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 医療ニュース、原油価格上昇、ハイテク企業の堅調さで米株価上昇
  • 外国為替市場は慎重姿勢ムード継続―円と米ドルは堅調推移
  • 経済再開リスクと米中貿易摩擦を市場は過小評価している可能性?
  • 独最高裁の決定でユーロ下落、豪中銀の政策会合結果で豪ドル横ばい推移

米株価は上昇

昨日の米株式市場では、米中関係の緊張上昇に反して、主要3株価指数が前半の下げ幅を回復して、全体的に上昇して引けました。医療のポジティブなニュース、原油価格上昇、及びスムーズな経済再開への期待が追い風となり、本日の米主要株価先物指数は上昇してのオープンを示しています。

医療に関しては、オランダの研究者によるコロナウイルスの抗体発見が報じられました。動物実験や臨床試験実施前の初期段階ですが、期待が集まっています。エネルギー市場では、先週、米オクラホマ州の原油保管施設での在庫増加ペースが緩やかになっていることから、貯蔵スペースへの懸念が緩和されました。カリフォルニア州知事は、今週金曜日までに一部のビジネスが再開される見通しを明らかにしました。

市場の大半は、慎重姿勢継続

米株式市場を見る限りでは、最悪の状況は脱したと見なされるでしょう。米国ではビジネスが再開され、米原油在庫の増加スピードが緩やかになっていることから、米国内でのガソリン消費の増加が示されています。

しかしながら、外国為替市場では、慎重ムードが継続しています。円や米ドル等の安全資産が、対主要通貨で上昇しました。コモディティ市場では、ゴールドは1700ドル付近の高値を維持しました。最近の株価上昇要因は、新型コロナウイルス危機の中、マイクロソフトやアップル等の大手企業の堅調な業績が明らかになったことでした。

重要なことは、経済見通しの改善が米株価上昇の要因ではないことです。投資家は、新型コロナウイルスによるダメージの小さい米大手企業の株を購入し、円、米ドル、及びゴールドをリスクヘッジとして購入しているようです。

経済再開がスムーズに進むは不透明であり、米国内の一部の州では、感染者数が依然として高い水準にあることから、経済再開は早すぎる可能性もあります。米中関係の緊張が高まる中、新型コロナウイルス危機は消費行動に大きな影響を及ぼすことがより鮮明になりつつあります。

このような状況下では、大手ハイテク企業は、貿易摩擦やビジネス閉鎖の影響を大きく受けない為、より魅力的な投資先として見なされるでしょう。しかしながら、大手ハイテク企業の株価が下落した場合、株価下落が急速に進む可能性があります。株式市場の健全な回復には、一部の大手ハイテク企業だけでなく、市場全体の回復が必要です。株価下落リスクも引き続き高い状況となっています。

独最高裁の決定でユーロ安、豪中銀の政策会合結果で豪ドルは横ばい推移

今週の外国為替市場は、ユーロ安により、円と米ドルは高値を継続するでしょう。

欧州では、独最高裁判所がECBの債券購入プログラムはEU法に一部抵触する判断を明らかにした為、ユーロが下落しました。独最高裁判所の決定は、ECBによる刺激策を制限し、ユーロ圏内の成長や安定を遅らせることになります。

オーストラリアでは、オーストラリア準備銀行が政策金利と現行政策の据え置きを決定しました。

本日の経済指標では、米4月ISM非製造業PMIに注目が集まるでしょう。