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供給過剰により、原油が史上初マイナス価格を記録
昨日、WTI原油先物が1バレル当たりマイナス40.32ドルまで急落し、史上初めてマイナスを記録しました。前例のない事態で、市場では驚きが広がりました。
原油価格がマイナスとなった背景には、原油貯蔵施設のスペースが限界に達していることがあるようです。更に、本日に、WTIの5月物の取引期限が迫ったことによる売りの動きもあったようです。WTI先物取引の現物の受け渡しが行われる米オクラホマ州では、貯蔵スペースが満杯となっているようです。
保管料がかさむ現物を抱え込みたくない投資家が投げ売りに走ったことにより、原油価格がマイナスに転落したようです。投資家は、保管料を支払うか、買い手にお金を払って引き取ってもらう状況となりました。
原油価格がマイナスに転じると、需要と供給のバランスが大きく崩れ、生産者の赤字拡大に繋がります。
FRBによる支援を受けていないコモディティ市場は、債券市場や株式市場では明らかとなっていない世界経済崩壊の兆しを示している可能性もあります。
原油相場急落で、カナダドルも急落
外国為替市場では、原油相場の影響を受けるカナダドル、ロシアンルーブル、ノルウェークローネが急落しました、カナダも米国と同様に原油貯蔵のスペース問題に直面している為、特にカナダドルの急落は顕著でした。
今後数週間内に、原油貯蔵のスペース問題が改善しない限り、翌月に6月物の期限を向かる際に、同様の原油価格急落が起こるでしょう。したがって、需要と供給のバランスを変える対策が必要ですが、米政府が備蓄量を限界まで拡大させない限り、数週間内の改善は期待できないでしょう。
したがって、原油先物とカナダドルの下落基調は、当面の間は継続するでしょう。長期的には、経済活動の再開と共に、原油需要も回復し、現在の低価格により、供給過多も改善する模様ですが、数か月先となるでしょう。
市場はパニックにならず、緩やかなリスクオフムード
エネルギー市場での動揺は、市場全体には波及しませんでした。本日、世界の株式市場は下落し、円や米ドルが上昇したものの、動きは比較的緩やかでした。
米シェール産業崩壊のリスクに市場がより反応することが予想されますが、市場は、異例の財政刺激策やワクチン開発への期待を材料視しているようです。
本日、ニュージーランド準備のオア総裁が追加緩和の可能性を示唆した為、NZドルは最も軟調推移した通貨となりました。