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需要低下懸念で、原油価格急落
原油供給過多により、原油貯蔵施設が満杯になることが懸念され、原油価格が急落し、WTI原油先物が1バレル15ドルを割り込みました。OPECプラスによる減産は、原油価格を数日間安定させたに過ぎず、需要の減少幅は減産幅を大きく上回ることが浮き彫りになりました。
需要と供給のバランスに大きな変化が見られない限り、原油貯蔵施設のスペースがなくなることが市場では懸念されています。
外国為替市場では、WTI原油先物が最大19%値下がりしたことにより、カナダドル、ノルウェークローネ、及びロシアンルーブル等の原油価格に影響を受ける通貨が下落しました。しかしながら、スポット価格の急落の為、短期的な問題と判断され、下げ幅は緩やかでした。
先行きは依然として不透明ですが、長期的には原油価格が一段と下落する可能性は低いでしょう。経済が再開すると、原油の需要が再度増加します。最近の原油価格急落により、コストの高い業者が多数廃業した為、現在の原油価格に反映されているようです。
したがって、今後原油価格は回復する見通しですが、完全に回復する前に、WTI原油先物が10ドルまで値下がりするかが注目されるでしょう。
原油急落へのその他の市場の反応は限定的
予想外にも、原油価格の急落は、他の市場には影響しませんでした。本日、ゴールドや円等の安全資産は下落しました。欧州株式市場は、上昇してのオープンとなりました。しかしながら、米株式市場は、先週の上昇後、本日には若干下落してのオープンとなる模様です。
多数のポジティブなニュースにより、欧州と米国では最悪の状況を脱し、閉鎖解除に緩やかに移行するとの見方が市場では広がっています。したがって、市場では、経済活動が正常に戻り、V字型回復が期待されています。
異例の財政刺激策が決定されていますが、景気後退の深刻さや経済回復が長期化する可能性を市場は依然として過小評価している可能性があります。米国での失業者数の増加のスピードは、注目に値します。米国の4月の失業率は15%を上回り、前回の景気後退期の失業率10%を大きく上回っています。米国の失業率は、今後も上昇を継続する可能性があります。
消費者心理への影響を考慮すると、経済が完全に回復するには数年はかかるでしょう。封鎖解除後、ショッピングモールやレストランに再び賑わうでしょうか?中国、韓国、及びスウェーデン等の状況から、消費者は外出に慎重になるでしょうか?感染拡大の第二波や再度の閉鎖措置のリスクもあります。
したがって、消費低迷の継続により、回復には時間がかかることが予測されますが、株式市場にはまだ完全に反映されていないようです。過去数週間、ゴールド、円、及び国債が上昇し、原油価格が低迷していることから、投資家は株価上昇に慎重姿勢を維持している模様です。
ワクチン開発は、市場の流れを変える要因となりますが、短期的にまだ期待できないでしょう。したがって、可能性として考えられるのは、FRBによる社債買い付けも含む量的緩和の拡大になるでしょう。