マーケットプレビュー-英EU離脱担当相辞任でポンド相場に注目

投稿日: 2018年7月9日19時22分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場:先週金曜日に発表された米雇用統計の若干低調な結果を受けて、本日の米ドルインデックスは0.23%低下しました。英デービスEU離脱担当相の辞任後、ポンド/ドルも0.23%下落しました。

株式市場: 先週金曜日の米雇用統計で賃金上昇の鈍化が継続されたことにより、米株式市場の終値は上昇しました。ハイテク関連株の多いナスダック指数は1.34%上昇しました。S&P総合500種とダウ工業株30種は、それぞれ0.85%と0.41%上昇しました。本日の米主要株価先物指数も、上昇してのオープンを示しています。

アジア株式市場も堅調推移となりました。日経平均株価とトピックスはそれぞれ1.21%と1.20%上昇しました。香港株式市場は1.71%上昇しました。

欧州市場でも、全ての主要株価先物指数が大幅に上昇してのオープンを示しています。

コモディティ: 本日の原油価格は上昇し、WTI原油先物とブレント原油先物はそれぞれ0.51%と0.67%値上がりしました。サウジアラビア等の主要産出国が予定している増産が、カナダ、リビア、及びベネズエラでの供給低下を補う模様です。更に、米国とイランの関係の緊迫化も注目されます。

米ドル下落により、ゴールドは0.55%上昇し、現在の所、1259ドル付近で推移しています。

主要な動き: EU離脱相辞任でポンド上昇;米雇用統計で米ドル下落

英デービスEU離脱担当相の離脱を受けて、今週のポンド相場は小さな窓を開けてスタートしました。デービス元EU離脱担当相は、先週金曜日に英議会で承認されたメイ首相のEU離脱に関する改定案は、交渉における議会の役割を弱めるとして、改革案を批判しました。改革案は今週後半に公表される為、詳細についてはまだ明らかになっていません。しかしながら、改革案は自由貿易確立により、依然として合意に至っていないアイルランド国境問題の解決に繋がる模様です。EU離脱推進派のデービス氏の辞任、及びEU側が改革案に合意した場合の交渉前進への動きは、市場の反応から判断したところ、ソフトなEU離脱と見なされている模様です。

先週金曜日の米雇用統計の予想を下回る結果を受けて、米ドルは下落しました。米6月非農業部門雇用者数は、市場予想の19.5万人増に対して、21.3万人増の結果となりました。米6月平均時給は、市場予想の前年比2.8%増を下回る前年比2.7%増の結果となりました。米6月失業率は、3.8%から4.0%に予想外に上昇しました。雇用統計結果による利上げの可能性への影響は、殆ど見られませんでした。年内あと1回の利上げは完全に織り込まれており、年内4回目の利上げの可能性は40%となっています。

先週金曜日には、米国と中国が関税を発動させたにも関わらず、市場は殆ど反応しませんでした。現在の所、市場は冷静な反応を見せていますが、今後、貿易摩擦が一段と強まると、市場が反応し始める可能性もあります。

コモディティ通貨に関しては、先週金曜日のカナダ雇用統計の好調な結果を受けて、カナダドルは上昇し、今週に控えるカナダ中央銀行の利上げの可能性がより確実視されるようになりました。本日、豪ドルとNZドルは最近の急落から若干回復し、対米ドルでそれぞれ0.48%と0.22%上昇しました。

本日これからの市場: ユーロ圏Sentix投資家信頼感指数、及び米消費者信用残高発表

GMT0830には、ユーロ圏7月Sentix投資家信頼感指数が発表されます。本指標の市場予想は2016年9月以来の最低水準8.2となっており、6か月連続の減少となる模様です。

イタリアの政治的不透明感、及び米国の保護貿易主義政策が、過去数カ月の投資家心理に影響しています。

GMT1900には、米5月消費者信用残高が発表され、上昇が予想されています。

本日の市場でのリスク要因は、貿易問題、及び英デービスEU離脱担当相辞任後のEU離脱問題の不透明感になるでしょう。

GMT1300にはドラギECB総裁が欧州議会で発言予定です。

GMT1300には、ドイツのメルケル首相と中国の李首相のニュースコンファレンスが開催され、最近の貿易摩擦問題を考慮すると、市場の注目を集める可能性があります。

テクニカル分析: EURUSDは約4週ぶり高値更新し、短期的強気相場;買われ過ぎの可能性

EURUSDは6月下旬に約3週ぶり安値1.1527ドルまで下落後、250ピップ程回復しました。本日前半には、約4週ぶり高値1.1778ドルまで値を切り上げました。転換線は基準線を上回り、短期的強気相場の兆しを見せています。しかしながら、遅行スパンが買われ過ぎ相場を示している可能性があるため、相場転換の可能性が残されています。

Sentix投資家信頼感指数は、通常、市場を動かす要因とはなりませんが、好調な結果はEURUSDを押し上げる可能性があります。この場合、1.18ドル付近がレジスタンスゾーンになるでしょう。一段と上昇した場合、6月中旬に記録した2か月ぶり高値1.1850ドルが視野に入るでしょう。

Sentix投資家信頼感指数が低調な結果となり、EURUSDが下落した場合、1.1750ドル付近がサポートゾーンになるでしょう。1.1750ドルは本日の前半にはレジスタンスポイントとして機能しなかったものの、サポートポイントとして機能する可能性があります。一段と下落した場合、転換線上の1.1729ドルと基準線上の1.1699ドル付近が視野に入るでしょう。